ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、第4四半期に6億7080万ドル(1株当たり3.03ドル)の純損失を報告した。この損失の主因は、同社が保有するビットコインの減損処理によるものである。
同社は第4四半期に21万8887BTCを追加取得し、総保有量は47万1107BTC、評価額は約460億ドルに達した。さらに、今後3年間で420億ドルの資金調達を計画し、そのうち200億ドルを既に確保している。
ストラテジーは、ビットコインへの注力を強調するために社名を変更し、2025年に向けて「15%のBTC利回り目標」と「100億ドルのBTC利益目標」を新たな主要業績指標(KPI)として設定した。一方、従来のソフトウェア事業の売上は前年同期比で3.1%減少しており、同社の戦略的転換が鮮明になっている。
ビットコインの評価減が財務に与えた影響
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ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、第4四半期に6億7080万ドルの純損失を計上したが、その最大の要因はビットコインの減損処理である。同社はビットコインを大量に保有しており、その評価額は暗号資産市場の価格変動に大きく依存している。ビットコインの価格が下落した際には、会計基準に従って減損処理を行う必要があり、これが損益に大きく影響を与えた。
また、同社は四半期ごとに保有ビットコインの評価額を市場価格に基づいて見直しているが、価格の変動性が高いため、財務的な不確実性が常につきまとう。特に、第4四半期は市場が弱含んでいたことから、減損額が拡大し、赤字幅が大きくなった。一方で、同社は長期的にビットコインの価値が上昇すると見込んでおり、売却による利益確定ではなく、保有を継続する方針を維持している。
こうした戦略は、従来の財務指標とは異なるリスクを伴う。同社の財務状況は、ビットコインの市場価格に強く依存し、収益の安定性よりも価格変動によるリターンを狙う性質が強い。そのため、投資家は暗号資産市場の動向と同社の業績が密接に結びついていることを認識する必要がある。今後、ビットコイン価格が上昇すれば減損処理の影響は縮小するが、逆に下落すればさらなる財務的な負担となる可能性もある。
企業戦略としてのビットコインシフトとその評価
ストラテジーは、単なるソフトウェア企業から「世界最大のビットコイントレジャリー企業」へと変貌を遂げつつある。その象徴として、社名をマイクロストラテジーからストラテジーへ変更し、ビットコインへのコミットメントを一層強調する姿勢を示した。さらに、新たな主要業績指標(KPI)として、2025年に「15%のBTC利回り」と「100億ドルのBTC利益目標」を掲げ、ビットコインの運用を重視した経営へと舵を切った。
こうした動きは、同社の従来事業であるソフトウェア部門の低迷が背景にあると考えられる。第4四半期の売上は1億2070万ドルにとどまり、前年同期比で3.1%減少した。従来の企業向けソフトウェア市場は成熟し、競争が激化しているため、成長余地が限られていた。そのため、暗号資産市場の成長を活用する戦略へとシフトしたとみられる。
ただし、このビットコイン中心の事業モデルには賛否が分かれる。暗号資産市場の価格変動が業績に直結するため、安定した収益を求める投資家にとってはリスク要因となる。一方で、暗号資産市場が拡大する中で、ストラテジーのビジョンに共感する市場参加者も少なくない。事実、同社の株価は過去1年間で562.78%上昇しており、暗号資産への積極投資が市場に評価されていることがうかがえる。
今後の資金調達と成長戦略の行方
ストラテジーは、今後3年間でビットコインのさらなる取得を計画しており、そのために420億ドルの資金調達を進めている。このうち、200億ドルはすでに確保されており、残る資金の調達方法と市場環境が今後の成長に大きく影響を及ぼす可能性がある。ビットコインの価格上昇が続けば、同社の財務状況は改善され、調達資金をさらに拡充できる可能性が高まる。
一方で、市場の不透明感もある。米国の金融政策や規制の影響により、暗号資産市場は大きな変動を経験している。もし市場環境が悪化すれば、ストラテジーの資金調達コストは上昇し、さらなる負担を強いられることになる。特に、従来の金融機関や機関投資家の関与が増加する中で、規制の影響を受けやすくなる点はリスク要因となる。
それでも、同社はビットコイン投資の長期的な成長を見据えた戦略を維持している。新たなKPIを通じて、単なる保有にとどまらず、積極的な運用を行う方針を示しており、金融市場の変動に適応しながら成長を図る考えだ。今後、同社の資金調達がどのように進展するかが、ストラテジーの経営基盤を左右する重要なポイントとなる。
Source:Wall Street Pit