人工知能(AI)関連銘柄が市場で注目を集める中、投資ストラテジストのシェイ・ボロール氏は、あるAI関連企業が「過小評価されている」と指摘した。それが米国のクラウドベースのデータストレージ企業**Snowflake(NYSE: SNOW)**である。
ボロール氏によれば、Snowflakeは「AI駆動型データ流動性のエンジン」として市場に認識され始めており、その評価は今後大きく見直される可能性がある。同社は、AI分野の競争が激化する中で、他の成長企業と比較しても割安な水準にあるとされ、今後の株価上昇が期待されている。
競合企業のPalantirやCloudflareがすでに大幅に評価を高めているのに対し、Snowflakeの成長性と現在の評価ギャップが市場の注目を集めるかもしれない。特に同社のAIサービスの拡充や、強気なアナリスト予測が今後の市場動向を左右する要因となりそうだ。
Snowflakeが注目される理由とは?データ流動性がもたらす競争優位性

SnowflakeがAI関連銘柄の中でも特に注目される理由の一つは、その**データ流動性(Data Liquidity)**にある。これは、企業がクラウド上で膨大なデータを迅速かつ効率的に活用できるようにする仕組みを指し、AIの学習や運用において極めて重要な要素となる。
AI市場では、データの蓄積だけでなく、それをいかに柔軟に扱い、リアルタイムで処理できるかが競争力を左右する。Snowflakeは、異なるクラウド環境間でのデータ統合を容易にし、企業が従来のデータウェアハウスよりも低コストかつ高速にデータを活用できるように設計されている。特に、AIを活用する企業にとって、データの共有や分析がスムーズに行える環境は不可欠であり、この点が市場での評価を高める要因となっている。
加えて、Snowflakeは近年、AI関連企業との提携を強化している。例えば、AIスタートアップのAnthropicとのパートナーシップでは、同社のAIモデルをSnowflakeのプラットフォーム上で活用できるようにすることで、より高度なデータ分析や予測を可能にした。このような取り組みが、AI業界での同社のプレゼンスを強めている。
市場においては、PalantirやCloudflareと比較して割安とされているSnowflakeだが、その実態は競争優位性を備えた企業であることがわかる。今後、データの流動性を活かしたサービスが拡充されれば、評価が一段と高まる可能性がある。
競合他社と比較するSnowflakeの成長ポテンシャル
Snowflakeの成長ポテンシャルを測るうえで、競合企業との比較は不可欠である。現在、AI市場では**Palantir(NASDAQ: PLTR)やCloudflare(NYSE: NET)**が先行しており、それぞれ異なる戦略で市場シェアを拡大しているが、Snowflakeの成長性にも注目すべき点が多い。
Palantirは、政府機関や大手企業向けのAI分析プラットフォームを展開し、特に国防分野や大規模データの解析に強みを持つ。売上高は32%増加、フリーキャッシュフローマージンは40%と高水準にある。しかし、同社のFCF倍率は181倍と非常に高く、すでに市場の期待が織り込まれている。
一方、Cloudflareは「新しいインターネットの管理者」として、ネットワークセキュリティやエッジコンピューティングに強みを持つ。売上高は26%増加し、フリーキャッシュフローマージンは12%だが、株価のFCF倍率は257倍に達している。
これに対し、Snowflakeの売上高成長率は23%、フリーキャッシュフローマージンは26%と安定した成長を維持しており、2024年末には成長率が30%に達すると予測されている。さらに、同社はデータプラットフォームとしての役割を強化し、AI活用企業との連携を進めることで新たな収益源を確立しつつある。この点が、同社の成長余地を示している。
また、Snowflakeは今後、クラウド環境の拡大とAI技術の進化によって、データ統合の需要が一層高まると見られる。そのため、競合企業とは異なる角度からAI市場での地位を確立する可能性がある。
SNOW株価の今後の展望、強気と慎重派の見解の違い
Snowflakeの株価は、2025年2月15日時点で187.60ドルで取引されており、年初来で21%の上昇を記録している。この上昇をどう評価するかについては、市場の見方が分かれている。
強気派のアナリストは、SnowflakeのAIデータ流動性の強みや、成長率の高さを評価している。ウォール街のアナリスト32人のうち28人が「買い」推奨としており、平均目標株価は199ドル、最高予測では225ドルとされている。AI需要の増加に伴い、企業のデータ活用が加速する中で、Snowflakeのサービスが不可欠になるという見立てだ。
一方、慎重派の見解としては、競争環境の厳しさや、同社の成長期待がすでにある程度織り込まれている点が挙げられる。現状の評価では、150ドルのサポートラインを維持しているものの、AI市場の変動によっては短期的な調整局面に入る可能性もある。また、競合企業との価格競争や、新興AI企業の台頭が同社の成長に影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
ただし、Snowflakeはデータ管理とAI活用の分野において独自の強みを持っており、AIの進化とともにその重要性は増していくと考えられる。今後、企業のデータ活用ニーズが一層拡大すれば、株価のさらなる上昇余地は十分にあるといえる。
Source:Finbold