バンク・オブ・アメリカ(BoFA)は、Appleの2025年度第1四半期(10-12月期)の決算が堅調なiPhone 16の販売に支えられ、好調な業績を示すと予測する。しかし、3月四半期(1-3月期)の業績見通しについては、iPhoneの出荷台数が4,900万台に減少すると見込み、従来の5,600万台、さらには市場コンセンサスの5,200万台をも下回る予測となった。
この販売減少の背景には、マクロ経済の逆風とApple Intelligenceの段階的な導入が影響しているとされる。これを受け、BoFAは2025年度および2026年度のiPhone販売台数予測を引き下げ、Appleの目標株価を従来の256ドルから253ドルへと修正した。
一方で、同社の利益率や強力なキャッシュフローは引き続き評価されており、投資判断は「買い」を維持。中国市場での販売低迷や規制上のリスクがあるものの、新型iPhone SEやiPhone 17の投入が将来の成長のカタリストとなる可能性がある。
Appleの販売予測下方修正 背景にマクロ経済の影響と消費者動向
AppleのiPhone販売台数の予測が引き下げられた背景には、マクロ経済の変動と消費者の購買行動の変化がある。バンク・オブ・アメリカ(BoFA)は、3月四半期のiPhone出荷台数を4,900万台と予測し、従来予想の5,600万台や市場コンセンサスの5,200万台を下回ると見ている。
この販売減少の要因の一つとして、世界経済の先行き不透明感が挙げられる。インフレや金利上昇、地政学的リスクの高まりにより、消費者の支出意欲が減退し、スマートフォンの買い替えサイクルが長期化している。特に、新興市場では為替の影響も大きく、Apple製品の価格が割高に感じられることが販売低迷の一因となっている。
また、Apple Intelligenceの導入が段階的であることも、消費者の購買判断に影響を与えている。AI関連機能が全面的に活用されるまでには時間がかかると見られ、消費者の一部は次世代モデルまで購入を見送る可能性がある。このような状況の中で、Appleは価格調整やプロモーションを活用し、販売回復を図る戦略を取ると考えられる。
中国市場の苦戦と価格戦略 Appleの現地適応策は奏功するか
中国市場でのiPhone販売低迷は、Appleにとって無視できない課題となっている。競争の激化に加え、中国政府による米国製品への規制強化も逆風となっている。BoFAは、この影響を過大評価すべきではないとしつつも、販売減少のリスクは引き続き存在すると指摘する。
特に、中国国内ではHuaweiを筆頭に地場メーカーが技術力を向上させ、ハイエンド市場でAppleの競争力を脅かしている。Huaweiの最新モデル「Mate 60」シリーズは、中国市場でのシェア拡大に寄与しており、Appleはこの流れにどう対応するかが問われる。
その一環として、Appleは中国市場で特定のiPhoneモデルの価格を引き下げた。これにより、一部の機種が政府補助金の対象となり、販売促進につながる可能性がある。ただし、価格引き下げがブランド価値の低下につながるリスクもあり、Appleがどのようなバランスを取るかが今後の焦点となる。
Appleの今後の成長戦略 新型iPhoneの投入と市場拡大の可能性
Appleは短期的な販売低迷に直面しているが、中長期的な成長戦略として、新製品の投入と市場拡大を進めている。BoFAによると、特にiPhone SEの次期モデルやiPhone 17が今後の成長を支える要素となる可能性がある。
iPhone SEには、Appleが自社開発した5Gモデムが搭載される見込みであり、これが市場競争力を高める要因となると考えられる。これまでAppleはQualcommのモデムを採用してきたが、独自開発によるコスト削減や性能最適化が期待される。一方で、初期段階では技術的な課題が残る可能性もあり、市場の反応が注目される。
また、iPhone 17は次世代モデルとして、デザインや機能面での大幅な進化が期待される。特に、AI技術の本格的な活用が進む中で、Apple Intelligenceのさらなる強化が競争力の鍵を握る。加えて、新興市場への戦略的アプローチやサブスクリプション型サービスの拡充も成長のカギとなりそうだ。Appleがどのように市場の変化に対応し、成長を持続できるかが今後の注目点となる。
Source:Investing.com