Super Micro Computer Inc.(SMCI)の株価は金曜日に3.47%下落し、1年で54%の下落を記録する一方、年初来では36%の上昇を見せている。このタイミングで、同社の上級副社長Sara Chiu-Chu Liu Liang氏とGeorge Kao氏が、それぞれ230万ドルと360万ドル相当の株式を売却した。
売却の背景には、Hindenburg Researchによる会計疑惑の指摘、監査法人EYの辞任、さらには米証券取引委員会(SEC)と司法省(DOJ)の調査がある。同社は未提出だった財務報告を公開し、ナスダック上場基準を満たしたが、同時に5件の訴訟を抱えている。
一方でCEOのチャールズ・リャン氏は、2026年の売上目標を400億ドルに設定し、成長戦略を維持する姿勢を強調。しかし、経営陣による大規模な株式売却は市場に不安を与え、同社の今後の動向が注目されている。
幹部の株式売却と市場の反応

スーパー・マイクロの上級幹部であるSara Chiu-Chu Liu Liang氏とGeorge Kao氏が、それぞれ230万ドルと360万ドル相当の株式を売却した。特にLiang氏は自身が保有する個人株をすべて処分し、経営陣による売却が相次ぐ状況となっている。この動きは、同社が未提出だった財務報告を公開し、ナスダック上場基準を満たした直後に起きたことが特徴的である。
市場の反応は敏感で、同社の株価は直近で26%の下落を記録した。投資家の間では、幹部による売却が企業の将来見通しに対する不安を示しているのではないかとの懸念が広がっている。加えて、売却のタイミングが財務報告公開の直後だったことから、インサイダー取引への関心も高まっている。
ただし、Liang氏とKao氏は新たに制限付き株式ユニット(RSU)を受け取っており、これらは長期的な企業の成長を前提とした報酬制度である。経営陣が完全に企業から手を引くのではなく、一定の関与を続ける姿勢を示している点は留意すべきであろう。
財務報告の遅延と監査法人の交代
スーパー・マイクロは2024年に財務報告の提出遅延という問題に直面した。会計上の不正疑惑がHindenburg Researchによって指摘されたことを受け、監査法人のEY(アーンスト・アンド・ヤング)が辞任した。この辞任により、同社は財務報告の提出が遅れ、ナスダックの上場基準を満たすために対応を迫られた。最終的に、今週未提出だった報告書を提出し、上場基準を再び満たすことに成功した。
EYの辞任は、同社の会計処理に対する信頼性の低下を示唆するものとして市場では捉えられている。スーパー・マイクロは、EYの辞任後、新たにBDO USAを監査法人として任命し、内部調査を経て「会計上の不正行為はなかった」と主張している。しかし、SECおよびDOJの調査が進行中であり、完全に疑惑が払拭されたわけではない。
この状況下で、CEOのチャールズ・リャン氏は、2026年の売上目標を400億ドルに設定し、成長戦略を維持する方針を示した。財務の透明性を強化し、市場の信頼を回復することが今後の重要な課題となる。
訴訟と規制当局の調査が企業成長に与える影響
スーパー・マイクロは現在、SECおよびDOJによる調査の対象となっており、加えて5件の訴訟を抱えている。これらの法的リスクは企業の成長戦略に影響を与える可能性がある。特に、会計問題に関連する調査は、企業の財務の健全性や経営陣の信頼性に関わるため、長期的な成長に向けた大きな障壁となりうる。
一方で、スーパー・マイクロは過去にNvidiaのGPUを活用した製品で急成長し、株価が3,000%上昇した実績を持つ。現在も技術力の高さは評価されており、成長市場であるAI関連サーバー分野での競争力を維持できるかが注目される。
経営陣による株式売却が相次いでいることを考えると、短期的には市場の不安が続く可能性がある。しかし、財務報告の正常化や訴訟リスクの低減に成功すれば、企業の成長路線に回帰する可能性も残されている。今後のスーパー・マイクロの動向は、同業他社や市場全体にも影響を及ぼす要素となるだろう。
Source:Wall Street Pit