Meta Platforms(ティッカー: META)は、1月29日の第4四半期決算発表を控え、アナリストからの高い評価を受けている。Bank of Americaのアナリストは、収益増加、コスト管理、AI能力への楽観的な見方を理由に、目標株価を660ドルから710ドルに引き上げ、「買い」評価を維持した。
ウォール街では、Metaの第4四半期収益が前年同期比17%増の470億4,000万ドル、純利益が同26%増の176億ドル(1株当たり6.78ドル)に達すると予想されている。さらに、マーク・ザッカーバーグCEOは、AI事業の拡大に伴い、2025年の設備投資額を最大650億ドルに増加させる計画を発表した。
一部のアナリストは、AI関連の投資が利益を圧迫する可能性を指摘するものの、AI技術の進展が広告収益の増加や新たな収益源の創出に寄与すると期待されている。また、米国でのTikTokの一時的な禁止措置により、Instagram Reelsへのユーザー移行が見られ、これが第1四半期の追い風となる可能性があるとJefferiesのアナリストは指摘している。これらの要因を踏まえ、Metaの成長戦略とAI投資の行方に市場の注目が集まっている。
AI投資の拡大が示すMetaの戦略転換
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Metaは、2025年の設備投資を最大650億ドルに拡大する計画を発表した。これは、同社がAI技術の開発を最優先課題としていることを明確に示している。これまでMetaは、広告ビジネスを中心とした成長戦略を展開してきたが、ここにきてAIへの巨額投資が前面に押し出された形だ。特に、生成AIの開発強化や、広告システムの高度化に向けた取り組みが注目される。
また、AIモデルの訓練には膨大な計算資源が必要となるため、データセンターの拡張も不可欠だ。Metaは、より効率的なAI運用のため、独自のチップ開発にも取り組んでいると報じられている。このような取り組みは、競合であるGoogleやMicrosoftと同様に、AIインフラを内製化し、コストを最適化する狙いがあると考えられる。
一方で、AI投資の急拡大にはリスクも伴う。短期的には、巨額の資本支出が利益率を圧迫する可能性があり、投資家の懸念材料となる可能性がある。AI技術の進化が広告ビジネスに与える影響も未知数であり、ROI(投資対効果)が期待通りに向上しなければ、株価のボラティリティが高まることも考えられる。しかし、長期的には、AI主導の広告最適化が成功すれば、収益拡大の重要な柱となることは間違いない。
TikTok規制がもたらす市場環境の変化
最近、米国ではTikTokに対する規制が強化され、一部の地域で一時的な禁止措置が実施された。Jefferiesのアナリストによると、これにより若年層ユーザーの一部がInstagram Reelsに移行した可能性が指摘されている。これは、Metaにとって短期的な追い風となる要因であり、特に広告市場での競争環境に影響を与えると見られている。
TikTokの影響力が強まる中で、Metaは対抗策としてInstagram Reelsの機能強化を進めてきた。リール動画のアルゴリズム改善、クリエイター支援プログラムの拡充、収益化手段の多様化など、短尺動画市場での競争力向上を図っている。これにより、広告主がTikTokとInstagramのどちらに予算を投じるかの選択肢が広がることになり、Metaにとっては市場シェア拡大の機会となる。
しかし、TikTokの規制が恒久的なものとなるかは不透明であり、長期的には状況が変化する可能性もある。TikTok側も規制対応を進めており、米国内での事業継続に向けた対策を講じている。Metaがこの機会を活かすには、TikTokから流入したユーザーを定着させるための施策が不可欠であり、今後の戦略が重要なカギを握ることになる。
AI競争激化の中でMetaが直面する課題
AI分野では、MetaだけでなくGoogle、Microsoft、Amazonといったテクノロジー大手が熾烈な競争を繰り広げている。特に、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」が、米国の主要AIモデルに匹敵する技術を低コストで開発したと主張したことは、業界に波紋を広げた。この動きは、AI技術の民主化とコスト削減の可能性を示唆するものであり、大手企業にとっては新たな脅威となる可能性がある。
Morgan Stanleyのアナリストは、「MetaはDeepSeekの技術進歩を自社のAIモデルに取り入れることで、競争力を高める可能性がある」との見解を示している。MetaはすでにオープンソースAIへの取り組みを強化しており、他社の技術を参考にしながら、独自の差別化を図る可能性がある。
しかし、AIの進化が急速に進む中で、投資効率の問題や規制対応といった課題も浮上している。AIの利用に関する倫理的問題、プライバシー保護、データ規制の強化など、各国の政策がMetaの戦略に影響を及ぼす可能性がある。競争が加速する中で、Metaがどのようにこれらの課題を克服し、AI分野での優位性を確立するかが、今後の成長に大きく関わることになる。
Source:Investopedia