Airbnb(NASDAQ: ABNB)は、2024年第4四半期において売上高25億ドル、前年同期比12%増と好調な業績を報告した。純利益は4億6100万ドル、1株当たり利益(EPS)は0.73ドルと、いずれも市場予想を上回った。

しかし、2025年第1四半期の売上高予想は22.3億ドルから22.7億ドルと控えめであり、前年同期比4%から6%の増加にとどまる見込みである。この背景には、為替レートの影響や前年同期との比較の難しさがあるとされる。

同社はまた、5月に新規事業を立ち上げる計画で、これに2億ドルから2億5000万ドルの投資を予定している。これらの発表を受け、Airbnbの株価は時間外取引で14%以上上昇した。

Airbnbの成長を支える新戦略と市場の反応

Airbnbは2024年第4四半期において市場予想を上回る決算を発表したが、同時に慎重な2025年第1四半期の見通しも示した。しかし、単なる数値の増減だけでは同社の本質は見えてこない。ここでは、Airbnbの新たな戦略と、それに対する市場の反応を深掘りする。

Airbnbは新たな成長戦略として「ゲストお気に入り」や「共同ホストネットワーク」を推進している。特に共同ホスト制度は、これまで個人運営が主流だったAirbnbのホスティングモデルに変化をもたらしており、管理されたプロパティの数が10万件を超えるなどの成果を上げている。この仕組みは、宿泊施設の供給量を拡大するだけでなく、ホストの収益を安定化させるメリットもある。

また、グローバル戦略も成長の鍵を握る。特にラテンアメリカ市場の拡大が進んでおり、ブラジルを中心とした市場開拓が加速している。さらに、中国の海外旅行需要が回復することで、東南アジア市場を含めた国境を越えた旅行が増加する可能性がある。こうした地域的な拡大は、Airbnbの収益基盤を強化し、リスク分散にも寄与すると考えられる。

市場の反応は好意的であり、決算発表後に株価は14%以上上昇した。しかし、2025年第1四半期の慎重な見通しを受け、一部のアナリストは短期的なリスクを指摘している。特に、為替レートの変動やイースターの影響を考慮すると、売上成長率の減速が懸念される。一方で、Airbnbのビジネスモデルは安定しており、長期的な成長余地は依然として大きいと見る向きもある。

2025年に向けたAirbnbの課題と競争環境

Airbnbが今後も成長を維持するためには、直面する課題への対応が不可欠である。まず、規制リスクが引き続き懸念される。各国の都市部では短期レンタル規制が強化されており、特にニューヨーク、パリ、東京などの主要観光地では、Airbnbの事業運営に対する制約が増している。こうした規制環境に適応するため、同社は地方エリアへの展開を強化しているが、都市部と比較して収益性が劣るため、新たなビジネスモデルの構築が求められる。

また、競争環境も変化している。ホテル業界の回復が進む中で、マリオットやヒルトンといった大手ホテルチェーンは、Airbnbの市場シェアを奪うべく、長期滞在プランの拡充やデジタル戦略の強化を進めている。さらに、Vrbo(Expedia傘下)やBooking.comなどの競合も、個人ホスト向けのサービスを強化し、Airbnbと直接競争を繰り広げている。

加えて、ユーザーエクスペリエンスの向上も大きな課題となる。Airbnbはモバイルアプリの改善を進め、現在では予約の60%がモバイル経由で行われている。しかし、プラットフォーム上のカスタマーサポートの質や、ゲストの満足度向上といった課題に対する対応が求められている。特に、高額な清掃料金や不透明な料金体系に対する不満の声が挙がっており、これらの問題を解決しない限り、リピーターの定着が難しくなる可能性がある。

Airbnbの株価は今後も上昇するのか?

Airbnbの株価は2025年2月14日の決算発表後に急騰したが、この上昇が持続するかどうかは、同社の業績動向と市場環境に左右される。短期的には、2025年第1四半期の慎重な見通しが投資家のセンチメントに影響を与える可能性がある。しかし、為替レートの影響やイースターのズレといった要因を考慮すれば、成長鈍化は一時的なものとみることもできる。

一方、長期的な視点で見ると、Airbnbの強みは依然として健在である。同社はフリーキャッシュフローマージン40%と高い収益性を誇り、新規事業への投資余力も十分にある。特に、5月に発表予定の新規事業は、今後の成長を占う上で重要なポイントとなるだろう。この事業が既存の宿泊プラットフォームを補完する形で成功すれば、Airbnbの収益基盤は一層強固なものとなる可能性がある。

市場の評価は分かれるが、現在の目標株価は145.79ドルであり、一部のアナリストは他の銘柄の方が魅力的であると指摘している。ただし、Airbnbのブランド力とグローバルなネットワークは依然として強みであり、成長戦略が成功すれば株価の上昇余地は十分にある。今後の動向を注視しつつ、同社の事業展開を見極める必要がある。

Source:MarketBeat