テスラ(NASDAQ: TSLA)の株価が3月4日に6%以上急落し、267.22ドルで取引された。2025年の年初から同社株は34%以上下落しており、ナスダック指数の下落幅を大きく上回る低迷が続いている。

背景には、中国市場での販売急減や欧州での販売不振がある。2月の中国卸売出荷台数は前年同月比49%減と2022年8月以来の最低水準を記録。一方、競争相手のBYDは同月の販売が164%増と急伸し、テスラは市場シェアを奪われつつある。

こうした状況を受け、バンク・オブ・アメリカはテスラの目標株価を490ドルから380ドルに引き下げた。販売減少、ブランドリスク、新製品投入の不透明感がその理由とされる。ただし、モルガン・スタンレーは依然としてテスラの長期的成長に期待を寄せており、意見は分かれている。

テスラの株価下落が示す市場の変化

テスラ(NASDAQ: TSLA)の株価は、3月4日に6%以上下落し、267.22ドルで取引された。2025年に入ってからの下落率は34%を超えており、同時期に約6%下落したナスダック指数を大幅に下回る。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は目標株価を490ドルから380ドルへと引き下げ、「中立(Neutral)」の評価を維持した。

テスラの株価低迷の要因として、2024年第4四半期決算の不振や、EV市場での競争激化が挙げられる。特に、中国市場での販売減少が深刻で、2025年2月の卸売出荷台数は前年同月比49%減の30,688台と、2022年8月以来の最低水準を記録した。一方で、競争相手のBYDは同月の販売が前年同月比164%増の322,846台に達し、市場での地位を強化している。

テスラの販売不振は中国だけでなく欧州市場にも及んでいる。フランスでの2月の販売台数は前年同月比26%減、スカンディナビア地域では登録台数が42%〜48%減少するなど、主要市場での苦戦が目立つ。こうした市場環境の変化を受け、テスラが今後どのように戦略を調整するのかが注目される。

中国市場での苦境がテスラの成長戦略に与える影響

テスラにとって中国市場は世界最大のEV市場であり、売上の大部分を占める。しかし、2025年2月の卸売出荷台数は前年同月比49%減の30,688台となり、2022年8月以来の最低水準を記録した。春節(旧正月)の影響もあるが、他のEVメーカーが販売を伸ばしている中での急減は、市場のシェア喪失を示唆する。

BYDを筆頭に、中国のEVメーカーは価格競争力を武器に市場を席巻している。BYDの2月の販売台数は前年同月比164%増の322,846台に達し、理想汽車(Li Auto)や蔚来汽車(Nio)も堅調な成長を見せている。テスラは価格引き下げを行っているものの、競争力のある新モデルの投入が遅れており、消費者の関心が他社製品に向かうリスクが高まっている。

さらに、中国政府のEV補助金制度の変更も影響を与えている。国内メーカーが政府の支援を受けやすい中、海外メーカーであるテスラにとっては逆風となる要素が多い。テスラが今後どのように中国市場での地位を回復するのか、特に新モデルの投入や製造コストの見直しが鍵を握るだろう。

テスラの未来に対する市場の見方は二極化

テスラの株価下落に伴い、アナリストの見方は大きく分かれている。バンク・オブ・アメリカは目標株価を490ドルから380ドルに引き下げ、販売台数の減少やブランドイメージのリスクを懸念材料として挙げた。一方で、モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナスは依然としてテスラを「トップピック(最優良銘柄)」と評価し、目標株価を430ドルとした。

ジョナス氏は、短期的な販売低迷はテスラの長期的成長ストーリーに影響を与えないと指摘している。特に、テスラがEVメーカーとしての枠を超え、AIやロボティクス、エネルギー事業へと事業を拡大している点を強調する。このような見解に基づき、短期の株価変動に対する耐性がある投資家にとっては、現在の下落が買いのチャンスと捉えられる可能性がある。

ただし、短期的な課題が多いことも事実である。特に、競争環境の激化や、新製品の遅れが今後の業績にどのような影響を与えるかが注目される。テスラの成長ストーリーが維持されるかどうかは、中国市場での立て直しや、新たな技術開発の進展にかかっている。

Source:Finbold