ウォール街の大手金融機関であるシティグループが、メディア大手ディズニー(NYSE: DIS)の株価について15%の上昇余地を見込む最新予測を発表した。シティのアナリスト、ジェイソン・バジネット氏は、同社の収益と成長戦略を評価し、目標価格を125ドルと設定。
特に2025年以降のインド事業合併やESPNの新製品投入、Hulu LiveとFuboTVの統合といった事業計画が注目されている。現時点では、ディズニー株はマクロ経済の逆風を受けているものの、成長見通しが投資家の関心を集めている。次回の決算発表が2月5日に予定されており、今後の市場動向を占う重要な指標となる見込みだ。
ディズニー株の回復基調と市場の評価 過去の動向から読み解く成長の可能性
ディズニーの株価は、2024年後半にかけて回復傾向を示した。最安値の85.60ドルから年末には111.35ドルへと上昇し、年間で24.5%のリターンを記録した。しかし、この上昇率はS&P 500の25%には及ばず、市場全体の成長ペースには若干遅れを取っている。特に2024年第4四半期の決算発表では、収益と売上の両面で市場予想を上回る結果を示したものの、年明け後の株価は一時的に108.86ドルまで下落した。
こうした動向を踏まえ、シティグループのアナリスト、ジェイソン・バジネット氏はディズニーの成長可能性に注目している。彼の分析によれば、現在の株価水準はリスクとリターンのバランスが取れており、戦略的な事業展開が進むことで株価の上昇余地があるとみられている。特に2025年以降の合併や新規事業の展開がカギを握るとされており、インド事業のリライアンス・インダストリーズとの合併や、ESPNフラッグシップのローンチが重要な成長要因と位置づけられている。
一方で、ウォール街ではディズニーのEPS成長率に対する期待値が市場予想よりもやや高めに設定されているとの指摘もある。シティグループは2025年のEPS成長率を8%、2026年と2027年をそれぞれ11%と13%と見込んでおり、慎重な姿勢を崩していない。これらの成長率が市場の期待値を満たすかどうかが、今後の株価に大きく影響を与えるだろう。
ディズニーの事業戦略と市場評価 未来を左右する3つの要因
ディズニーの成長戦略を分析する上で、2025年から2026年にかけての3つの主要施策が注目されている。第一に、インド事業のリライアンス・インダストリーズとの合併が市場の関心を集めている。インドは世界でも有数の急成長市場であり、デジタルメディアの消費が急速に拡大している。ディズニーはこの市場においてシェアを拡大することで、収益基盤の強化を狙っている。
次に、ESPNフラッグシップのローンチが成長ドライバーとして期待されている。スポーツメディアは依然として安定した収益源であり、特に米国内の視聴者にとって重要なコンテンツとなる。近年、ストリーミングサービスへのシフトが進んでいるが、ESPNのブランド力を活かした新たなプラットフォーム展開が成功すれば、収益の多様化につながる可能性がある。
さらに、Hulu LiveとFuboTVの統合も市場の注目を浴びている。近年、ケーブルテレビ離れが進み、コードカットの影響を受ける企業が増えているが、ディズニーはストリーミング分野において優位性を築こうとしている。HuluとFuboTVの統合によって、ライブストリーミング市場での競争力を高め、視聴者獲得のための新たな戦略を展開することが可能になる。
ただし、こうした成長戦略が成功するかどうかは、市場環境や消費者の動向に大きく左右される。特に、ディズニーが進めるストリーミング戦略は、競争が激化する中で柔軟な対応が求められる。市場予測通りの成長を遂げることができるかどうかは、今後の決算発表や経営方針の変化を見極める必要がある。
株価目標とリスク要因 マクロ経済と市場の動向が鍵を握る
シティグループはディズニーの株価目標を125ドルに設定し、「買い」推奨を継続している。バジネット氏の評価によれば、現在の株価水準は魅力的な投資機会を提供しているが、同時にいくつかのリスク要因も存在する。特に、マクロ経済の動向がディズニーの業績に与える影響は無視できない。
弱気シナリオでは、世界経済の低迷が影響し、ディズニーの株価が2026年の予想利益の19倍のPERで取引されると仮定されている。この場合、株価は96ドルまで下落し、現在の水準から約12.86ドルの値下がりとなる可能性がある。一方で、強気シナリオでは、コードカットの影響が軽微であり、ディズニーのストリーミング事業が市場予想を上回る成長を遂げる場合、株価は2026年の予想利益の22倍のPERで取引されると想定される。この場合、株価は134ドルまで上昇し、現在の水準から25ドルの上昇余地がある。
市場はディズニーの次回の決算発表を待っている。2月5日に予定されている決算発表では、2024年第4四半期の業績や2025年の成長戦略に関する詳細な情報が明らかになる見込みだ。投資家はこの発表を注視し、ディズニーの今後の株価動向を見極める必要がある。今後の株価推移は、これらの要因がどのように市場に評価されるかによって大きく左右されることになるだろう。
Source:Finbold