ビットコイン価格の急騰に伴い、仮想通貨関連企業への関心が高まっている。特に、Coinbase Global(COIN)、Riot Platforms(RIOT)、MicroStrategy(MSTR)の3社は、それぞれ異なるビジネスモデルで市場に参入している。

Coinbaseは主要な仮想通貨取引所として、取引手数料を主な収益源としている。Riot Platformsはビットコインのマイニング事業を展開し、ビットコイン価格の変動に直接的な影響を受ける。一方、MicroStrategyは大量のビットコインを保有し、その価値上昇を企業価値の向上に結びつけている。

アナリストの評価では、MicroStrategyがビットコイン価格との高い相関性を持つことから、最も大きな上昇余地があると見られている。しかし、各社のリスクプロファイルや市場動向を慎重に分析することが重要である。

Coinbaseの成長戦略と収益構造の変化

Coinbase Global(NASDAQ: COIN)は、仮想通貨市場の拡大とともに成長してきたが、近年は取引手数料依存からの脱却を模索している。同社の収益の大半はトレーディング手数料によるものだが、市場のボラティリティに大きく左右されるため、安定した成長を実現するには新たな収益源の確立が不可欠である。そのため、Coinbaseはデリバティブ商品への注力、カストディサービスの拡大、国際市場への進出を推し進めている。

特に、デリバティブ取引は機関投資家の関心が高く、同社にとって有望な市場である。2024年第4四半期決算では、前年同期比で売上が79%増加し、EPSも55%以上増加すると予想されている。これは、取引量の増加だけでなく、手数料以外の収益が徐々に増加していることを示唆している。

一方で、Coinbaseには規制リスクも存在する。米国証券取引委員会(SEC)との対立や、新政権の規制方針によって事業環境が大きく変わる可能性がある。オッペンハイマーのアナリスト、オーウェン・ラウ氏は、S&P 500への組み入れの可能性を指摘しており、実現すれば同社株の安定性が高まる要因となる。しかし、仮想通貨取引所としての競争は激化しており、Coinbaseが長期的に優位性を保つには、規制環境を見極めながら柔軟な戦略を打ち出す必要がある。

Riot Platformsのマイニング事業と半減期の影響

Riot Platforms(NASDAQ: RIOT)は、ビットコインマイニングに特化した企業であり、価格変動に大きな影響を受ける。同社の株価は、2024年に入ってから29%上昇しているが、過去1年間では5%の上昇にとどまっている。これは、ビットコインの「半減期」が控えているため、市場の見通しが慎重になっていることが背景にある。

ビットコインの半減期は約4年ごとに発生し、マイナーが受け取る報酬が半減する仕組みである。これにより、収益性の低いマイナーは撤退を余儀なくされる一方で、競争力のある企業は市場シェアを拡大することができる。Riotは、2024年にはハッシュレートを155%増加させ、業界のリーダーとしての地位を確立しようとしている。また、同社は現在17,722 BTCを保有しており、1株あたりのビットコイン保有量も39%増加している。

このような積極的な投資にもかかわらず、Riotにはエネルギーコストの上昇や、ビットコイン市場の不確実性といったリスクがある。Needhamのアナリスト、ジョン・トダロ氏は、同社の目標株価を11ドルから16ドルに引き上げており、高性能コンピューティング(HPC)分野への進出が成長のカギになると見ている。今後、Riotがビットコイン価格の変動にどのように適応し、コスト削減と収益性向上を両立できるかが、株価の行方を左右することになるだろう。

MicroStrategyのビットコイン投資戦略とリスク

MicroStrategy(NASDAQ: MSTR)は、仮想通貨業界において特異な立ち位置を持つ企業である。同社は本来、ビジネスインテリジェンスを提供する企業であったが、現在は世界最大のビットコイン保有企業となっている。過去1年間で株価は554%も上昇し、Nasdaq 100への組み入れも追い風となった。

同社の戦略は明確であり、企業資金を活用して継続的にビットコインを購入するというものだ。2024年にはさらにビットコインの取得を進めており、機関投資家の参入が進む中で、ビットコイン価格との連動性が高まっている。Compass Pointのエド・エンゲル氏は、MicroStrategyを「ビットコイン価格のボラティリティに対するレバレッジの効いた投資手段」と表現しており、仮想通貨市場の成長とともに株価の上昇余地があると見ている。

しかし、MicroStrategyの戦略には大きなリスクも伴う。第一に、ビットコイン価格の下落は同社の企業価値を直接押し下げる。第二に、米国の規制環境の変化が企業の運営に影響を及ぼす可能性がある。特に、ビットコインETFの普及が進めば、MicroStrategyのような企業の必要性が低下する可能性も指摘されている。

今後の焦点は、MicroStrategyがどのようにビットコインの価格変動に適応し、企業価値を維持するかにある。同社の戦略が市場環境の変化に適応できるかどうかが、株価の持続的な成長を決定づける要素となるだろう。

Source:TipRanks Financial