ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(NYSE: BRK.B)は、直近の四半期で株の売却を進めている。特に、透析事業を手掛けるダヴィータ(NYSE: DVA)の株式を約75万株、総額1億1600万ドル相当を売却したことが明らかになった。
ダヴィータの2024年第4四半期決算は市場予想を上回る内容だったものの、今後の業績見通しが弱かったことから発表直後に株価は急落。最大株主であるバフェットの売却が重なり、市場の不安を高める要因となった。一方で、彼はダヴィータ株の44%を依然として保有しており、その動向が今後も注目される。
バフェットのダヴィータ株売却は何を意味するのか

ウォーレン・バフェットは、2024年2月14日から19日にかけて75万株のダヴィータ(NYSE: DVA)株を売却した。この取引は合計18回に分けて実行され、1株あたりの売却価格は150.77ドルから159.15ドルの範囲に収まっていた。結果として、売却総額は1億1605万ドルに達したと試算される。
この売却によって、バフェットのダヴィータ株の保有比率は2%低下したが、それでも依然として3514万株以上(約44%)を保持しており、引き続き筆頭株主の立場を維持している。売却の規模としては決して小さくないが、ダヴィータへの投資姿勢を根本的に変えたわけではない。ただし、市場ではこの動きが同社の将来性に対する慎重な姿勢の表れではないかとの見方も広がっている。
一方で、バフェットは同時期にシリウスXM(NASDAQ: SIRI)の株を5000万ドル分購入し、オクシデンタル・ペトロリアム(NYSE: OXY)には3500万ドルを投じている。これらの動きは、特定の分野に資本を移しつつ、バランスの取れたポートフォリオ構築を意識している可能性を示唆する。
ダヴィータの業績不安が市場の懸念を加速させる
ダヴィータの株価は、2024年第4四半期の決算発表直後に急落した。決算では、売上高と1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回る結果を示したものの、今後の業績見通しに対する慎重な姿勢が投資家の期待を裏切った形となった。この影響で、発表当日の株価は1日で11%下落し、157.42ドルまで落ち込んだ。さらに、その後も下落傾向が続き、記事執筆時点では154.50ドルとなっている。
今回のバフェットによるダヴィータ株の売却は、こうした業績への懸念と無関係ではないと考えられる。特に、ダヴィータは透析事業に依存しており、医療業界の規制強化やコスト増加が業績に影響を与える可能性がある。加えて、米国の医療保険制度の変化によって、収益構造に影響が及ぶリスクも指摘されている。
市場では、最大株主であるバフェットが保有比率を縮小したことを不安視する声も上がっている。過去にもバフェットは自社株買いプランに基づく売却を行っていたが、今回は業績不安と重なったことで、その意味合いが異なって受け止められている。特に、2025年以降の業績動向が不透明な中での売却は、さらなる株価の下落を招く可能性も否定できない。
バフェットのキャッシュポジションと今後の投資戦略
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、現在過去最高水準のキャッシュを保持している。2023年第4四半期の時点で、同社の手元資金は1572億ドルに達しており、これは過去最高額に近い水準だ。これは、市場のボラティリティが高まる中で、慎重な投資戦略を取っていることを示唆する。
今回のダヴィータ株の売却に加えて、バフェットは大規模な新規投資を控えている可能性がある。特に、彼が過去に繰り返し述べている「適切な機会が訪れるまで待つ」という姿勢を貫いていると考えられる。2024年の米国経済は、金利政策や景気動向の影響を受ける中で、企業の評価が変動しやすい局面にある。バフェットは、より魅力的な投資対象を見極めるため、慎重に市場を観察している可能性が高い。
今後の焦点は、バフェットがどのタイミングで大規模な買収や投資を実行するかにある。過去の歴史を振り返れば、彼は金融危機や市場調整時に果敢に資金を投じてきた。バークシャー・ハサウェイが積み上げた豊富なキャッシュは、次なる投資機会に向けた準備であり、いずれ大規模な動きがある可能性を示唆している。
Source:Finbold