電気自動車メーカーのリビアン(NASDAQ: RIVN)は2025年の好調なスタートから一転、2月に入って株価が急落した。1月初旬には16.49ドルまで上昇したが、2025年の業績見通しの下方修正や大規模リコールにより、市場の信頼が揺らいだ。2月24日には7.29%下落し、12.03ドルまで値を下げている。

アナリストの評価も厳しさを増している。バンク・オブ・アメリカ(BoA)は格付けを「アンダーパフォーム」に引き下げ、目標株価を13ドルから10ドルに修正。カントール・フィッツジェラルドも「中立」に格下げしたが、目標株価は15ドルに引き上げた。一方で、グッゲンハイムは「買い」を維持しながらも、目標株価を18ドルから16ドルへと引き下げた。

リビアンは2025年の納車台数を最大51,000台と見込んでいるが、市場予想を下回る水準にとどまる。加えて、EVインセンティブの撤廃リスクやフォルクスワーゲンとの提携問題が今後の不透明要因として挙げられる。CEOのRJ・スカリンジ氏が3月に登壇するNvidiaのGTCカンファレンスが、再評価の契機となるかが注目される。

リビアンの業績予想が市場の期待を下回った背景

リビアン(NASDAQ: RIVN)は2024年の年間納車台数が市場予想を上回る好結果を示したが、その勢いを維持することはできなかった。2025年の納車見通しは46,000~51,000台と発表され、前年の52,000台を下回るだけでなく、ウォール街の予測である55,000台にも届かなかった。この発表が市場にネガティブな印象を与え、リビアン株の売りを誘発する要因となった。

さらに、2025年の営業損失見込みも市場の期待を裏切った。同社は金利・税引前損失(EBIT)が最大19億ドルに達すると予測しており、これはアナリストの予測を大きく上回る水準である。EV市場全体が競争激化の影響を受ける中で、リビアンの事業運営コストの高さが引き続き収益圧迫要因となっていることが浮き彫りになった。

また、ヘッドライトの欠陥による17,000台超のリコール発表も株価の下落を加速させた。このリコールは直接的なコスト増を意味するだけでなく、ブランドへの信頼低下にもつながる可能性がある。特に、新興EVメーカーは消費者の信頼を確立することが成長の鍵となるため、品質問題が浮上することは市場にとって大きな懸念材料となる。

アナリストがリビアンの評価を引き下げた理由

リビアンに対する市場の不安を反映する形で、複数のアナリストが評価を引き下げた。バンク・オブ・アメリカ(BoA)は格付けを「中立」から「アンダーパフォーム」に変更し、目標株価を13ドルから10ドルへと引き下げた。特に2025年の業績見通しの悪化、フォルクスワーゲンとの提携の不透明さ、競争の激化を理由として挙げている。

一方、カントール・フィッツジェラルドもリビアンの格付けを「オーバーウェイト」から「中立」に引き下げたものの、目標株価は13ドルから15ドルへと引き上げた。同社のアナリストであるアンドレス・シェパード氏は、納車台数の低迷、電動配送バンの販売減少、マクロ経済の影響を考慮した結果であると指摘している。また、新たな関税やEV税額控除の撤廃が今後の需要に与える影響も懸念材料となっている。

グッゲンハイムはリビアンの「買い」評価を維持しているが、目標株価は18ドルから16ドルに引き下げた。同社は2025年の業績見通しの低さを反映し、R1プラットフォームの評価をモデルから除外したことが背景にある。これらの動きから、リビアンの短期的な成長期待が大きく後退していることがわかる。

リビアンの今後の展望と市場の注目点

リビアンは今後の成長戦略として、製造コストの削減や新型モデルの投入を計画している。しかし、競争が激化するEV市場では、コスト削減だけでは十分ではない。特に、テスラやフォードなどの既存メーカーが価格競争を強める中で、リビアンは差別化戦略を打ち出す必要がある。

また、3月に開催されるNvidia(NASDAQ: NVDA)のGTCカンファレンスで、リビアンのCEOであるRJ・スカリンジ氏が登壇する予定である。AIや自動運転技術の進展がEV市場に与える影響についての発言が、投資家の注目を集める可能性がある。特に、リビアンがNvidiaの技術とどのように連携するのかが焦点となるだろう。

一方で、インフレ抑制法(IRA)によるリース補助金が撤廃される可能性があることも、リビアンの成長戦略に影響を及ぼすとみられる。EV購入のコスト負担が増すことで、需要が減少するリスクがあるため、政府の政策動向も今後の株価に大きく影響を与えることになりそうだ。

Source:Finbold