S&P 500は2024年を通じて25%の上昇を記録したが、年初来の急騰に対する警戒感も広がっている。2月19日の史上最高値6,114ポイントから3%下落したものの、一部のテクニカルアナリストは短期的な反転上昇を予想。

「TradingShot」によれば、S&P 500は上昇チャネル内で推移しており、4時間足の200期間移動平均を下回るたびに買いの機会が発生。過去のパターンに基づけば、6,330ポイントへの上昇余地があるとする。ただし、相場の過熱感が指摘される中、このシナリオが現実となるかは今後の市場動向次第だ。

S&P 500の上昇基調は継続か 6,300ポイントへの到達シナリオ

2024年に入り、S&P 500は力強い上昇を見せている。特に、過去のパターンを踏まえたテクニカル分析では、今回の相場も6%以上の上昇余地があるとの見方が示されている。

著名なテクニカルアナリスト「TradingShot」は、S&P 500が「チャネルアップ」のパターンを形成していると指摘。これは、価格が一定の範囲内で上昇と調整を繰り返しながら高値を更新していく形だ。過去に同様の動きを見せた際、市場は6.22%〜7%の上昇を記録しており、今回も同様の展開となれば、6,330ポイントに達する可能性がある。

さらに、4時間足の200期間移動平均を下回る場面が買いの好機となる点も重要だ。これまで同じパターンで反転上昇を見せた事例では、短期間での力強いリバウンドが発生している。歴史的なデータを参考にする限り、短期的な価格上昇は十分に想定される動きだといえるだろう。

市場の過熱感とリスク要因 テクニカル指標が示す警戒シグナル

S&P 500の急騰を背景に、市場の過熱感を示すシグナルも無視できない。バフェット指標(株式市場時価総額÷GDP)や、サイクル調整後P/E(CAPE)といった指標が歴史的な高水準に達しており、割高感が強まっている。

特にCAPEレシオは長期的な市場の割高・割安を判断する指標の一つであり、過去のピーク水準と比較しても現在のバリュエーションは非常に高い。また、テクニカル指標においてもRSI(相対力指数)が買われ過ぎゾーンに近づいており、短期的な調整が起こる可能性を示唆している。

市場心理を映すVIX(恐怖指数)が低水準にあることも注目点だ。VIXが極端に低い場合、投資家の楽観が行き過ぎている可能性があり、逆に調整局面が近いことを示唆する場合もある。こうした状況を踏まえると、短期的な上昇の可能性がある一方で、警戒すべきリスクも同時に高まっているといえる。

6,600ポイント到達の可能性と今後の焦点

テクニカル分析が示す短期的なターゲットは6,300ポイントだが、一部の市場関係者はさらに長期的な視点で6,600ポイントへの到達を予測している。だが、これには複数の要因が絡んでおり、単なるテクニカル要因だけでの判断は難しい。

まず、企業業績の推移が重要な鍵を握る。S&P 500の構成銘柄の多くは、好決算を背景に株価が押し上げられているが、今後も同様のトレンドが続くかは不透明だ。また、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策も注視すべきポイントであり、市場が期待する利下げのタイミング次第では、相場が変動する可能性がある。

過去のデータを見ても、株価が急騰した後には必ず調整局面が訪れている。S&P 500がこのまま6,600ポイントに向かうのか、あるいは一旦の反落を経るのかは、今後の経済指標や企業業績、金融政策の動向次第となるだろう。

Source:Finbold