テスラ(NASDAQ: TSLA)の株価が急落し、2月25日には8%以上の下落を記録。終値は302.80ドルとなり、時価総額は数カ月ぶりに1兆ドルを下回った。今年に入ってからの下落率は25%に達し、5000億ドル以上の市場価値が失われた。

背景には、2024年第4四半期決算の低調、納車台数の不振、競争の激化がある。特に欧州市場では1月の販売台数が前年同月比45%減と急落し、中国市場でも11.5%の減少が報告された。

欧州ではEV市場全体が34%成長する中での販売減が際立ち、ブランドイメージの悪化も懸念される。中国では地元メーカーの攻勢と新ソフトウェアの不評が影響。今後の巻き返しが注目される。

テスラ株急落の背景 欧州と中国市場の販売不振が深刻化

テスラの株価は2025年に入り下落が続き、2月25日には8%以上の急落を記録。終値は302.80ドルとなり、時価総額は1兆ドルを下回った。今年に入ってからの下落率は25%に達し、約5000億ドルの市場価値が消失した。この背景には、2024年第4四半期決算が市場予想を下回ったこと、納車台数の減少、競争激化といった要因がある。

特に欧州市場での販売不振は深刻だ。欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、2025年1月のテスラ販売台数は前年同月比で45%減少し、9,945台にとどまった。一方で、欧州全体のEV市場は34%成長しており、テスラのシェア縮小が浮き彫りとなった。

中国市場でも状況は厳しい。1月の販売台数は前年同月比で11.5%減少し、71,447台から63,238台へと落ち込んだ。中国EVメーカーの低価格競争に加え、新たに発表した自動運転ソフトウェアの評価が低く、顧客の期待を満たせなかったことが影響している。

競争の激化とブランドイメージの変化が株価に与える影響

テスラはこれまでEV市場のリーダーとしての地位を確立してきたが、競争環境は大きく変化している。欧州では中国のSAICモーターが36.8%の販売増を記録し、欧州市場での影響力を拡大。一方で、フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなどの欧州メーカーもEVラインナップを強化しており、テスラの優位性が薄れつつある。

加えて、ブランドイメージの低下も販売不振の要因とみられる。特にドイツでは、イーロン・マスクの政治的スタンスが問題視されており、極右勢力との関係が指摘される中で抗議活動が発生。これがドイツ市場でのテスラのブランド価値に影響を与えた可能性がある。

中国市場ではBYDをはじめとする現地メーカーが価格競争を仕掛け、テスラのシェアを奪いつつある。価格面での競争が激化する中、テスラがプレミアムEVブランドとしての価値を維持しつつ、市場シェアを確保できるかが今後の焦点となる。

テスラの今後の展開と市場の見通し

テスラは直面する課題に対応するため、価格調整や新モデルの投入を進めている。2025年中には、新型EVの発表や改良版のオートパイロット導入が予定されており、これが販売回復の鍵となる可能性がある。また、インド市場への参入も検討されており、新たな成長機会を模索している。

しかし、競争環境は厳しく、欧州や中国市場におけるテスラの戦略が成功するかは不透明だ。特に価格競争の激化により、利益率の低下が懸念される。さらに、マスクの発言や政治的立場がブランド価値に影響を与える可能性があり、企業イメージの管理も重要な課題となる。

テスラの株価は短期的な変動が大きいものの、EV市場全体の成長トレンドは続いている。技術革新や新市場開拓が成功すれば、テスラの立て直しは十分に可能だ。ただし、市場シェア維持のための競争力強化と、ブランド戦略の見直しが不可欠となるだろう。

Source:Finbold