半導体メーカーのAMD(NASDAQ: AMD)は、AI市場の急成長にもかかわらず、ライバルであるNvidia(NASDAQ: NVDA)ほどの評価を得られていない。しかし、テクニカル分析の視点からは、AMD株が148ドルまで上昇する可能性が示唆されている。
現在、AMDの株価は「下降チャネル」の中で推移しており、過去の同様の動きでは30%以上の上昇を記録した実績がある。著名なアナリストであるTradingShot氏は、RSIの強気ダイバージェンスなどの指標を根拠に、AMD株の上昇トレンド転換を予測。市場全体がAI関連銘柄に注目する中で、AMDが再評価されるタイミングが訪れる可能性が高い。
ウォール街のアナリストも、AMDの株価回復に強気な見方を示しており、目標株価は平均で173ドルに設定されている。特に、AI向け半導体市場での競争が激化する中で、AMDの成長戦略と技術力が市場にどのように評価されるのかが焦点となる。次回の決算発表を控え、投資家の注目が集まっている。
AMDの株価を押し上げる要因 AI市場の成長と競争環境の変化
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半導体業界では、AIの急速な進化が企業の成長戦略を大きく左右する要因となっている。Nvidiaが市場をリードする中、AMDもAI分野での影響力を高めるために戦略を強化している。特に、最新のGPUアーキテクチャ「MI300」シリーズは、AI向け計算能力の向上を目的とした製品群として市場の関心を集めている。
また、データセンター市場の拡大もAMDの成長を後押しする要素となる。クラウドプロバイダーや企業向けのAI推論・学習用途において、高性能なGPUとCPUの需要が急増している。AMDは、EPYCプロセッサとAIアクセラレータを組み合わせた統合ソリューションを提供し、Nvidiaとは異なるアプローチで市場シェア拡大を目指している。
さらに、米国政府の対中輸出規制の影響もAMDにとって重要な要素となる。NvidiaのハイエンドGPUが規制対象となる一方で、AMDの製品が比較的規制の影響を受けにくい可能性がある。これにより、中国市場でのシェア拡大のチャンスが生まれる可能性もある。これらの要因が組み合わさることで、AMDの株価上昇につながる材料が揃っていると言える。
下降チャネルとRSIが示す強気の兆候 テクニカル分析から見るAMDの上昇シナリオ
テクニカル分析の視点から見ると、AMDの株価は下降チャネル内での推移を続けてきたが、ここにきて強気のサインが確認されている。過去のチャートを見ると、下降チャネルの下限で反発した際、約30%の上昇を記録しており、同様のパターンが今回も形成されつつある。
特に注目されるのが、相対力指数(RSI)による「強気のダイバージェンス」だ。現在、RSIは上昇しているにもかかわらず、株価は依然として低水準にある。この現象は、売り圧力の低下と買いの勢いが高まっていることを示唆しており、上昇トレンドへ転換する可能性を示している。
また、出来高の推移も重要なポイントとなる。最近の取引データでは、売りが収束しつつあることが確認されており、買いのエントリーポイントとして注目されている。過去の同様の局面では、出来高の増加とともに株価が急上昇する傾向が見られた。これらのテクニカル指標が一致することで、AMDの株価が148ドルに向かうシナリオがより現実味を帯びてくる。
ウォール街の評価はAMDの成長をどう見ているのか 目標株価の見通しとリスク要因
ウォール街のアナリストの間では、AMDの目標株価に対して強気な見方が多い。現在、平均目標株価は173ドルと設定されており、これは現在の株価水準を大きく上回る水準だ。特に、WedbushのMatt Bryson氏は、最近の市場環境を考慮しながらも、AMDの目標株価を150ドル以上と見積もっている。
しかし、楽観的な見方だけではなく、いくつかのリスク要因も考慮すべきだ。まず、AI市場における競争が激化する中で、AMDがNvidiaと競り合うには、製品の市場投入タイミングや性能で確実にアドバンテージを持つ必要がある。また、データセンター市場の成長が続くかどうかも、不確実性の要因となる。
さらに、AMDの株価はこれまで下降チャネルの影響を受けて推移しており、仮に上昇したとしても148ドル付近で一時的な調整が入る可能性がある。市場全体のセンチメントやマクロ経済の動向にも左右されるため、株価がこの水準を維持できるかどうかは、次回の決算発表後の市場の反応が鍵を握ることになる。
Source:Finbold