Super Micro Computer(NASDAQ: SMCI)の株価が急騰している。同社は2024年に会計不正疑惑による市場の懸念で苦境に立たされていたが、最近の動きで状況が変わりつつある。直近5営業日で40.84%の上昇を記録し、年初来(YTD)のリターンもプラスに転じた。

この勢いが続くかどうかについて、テクニカル分析と市場の期待が交錯するなか、65ドルへの到達が現実味を帯びてきた。上昇の背景には、2025年第2四半期の決算発表を控えた投資家の期待がある。特に、NASDAQから要求されている年次報告書の提出期限に関するアップデートが注目されており、これが今後の株価に大きく影響を与えると見られている。

また、テクニカル分析では「ブル・フラッグ」パターンが形成されており、過去の類似ケースを参考にすると65ドルへの上昇余地があると指摘されている。ただし、NASDAQの提出期限延長に対する市場の反応次第では、急落の可能性もあるため、慎重な動向が求められる。

Super Microの株価急騰の背景と市場の評価

Super Micro Computer(SMCI)は、2024年に会計不正疑惑によって市場から厳しい視線を向けられていた。しかし、最近の株価の急騰には複数の要因が絡んでいる。その中でも特に注目すべきなのは、決算発表を控えた期待感と、新たな監査法人の確保による市場の安心感の回復である。

Super Microは、Hindenburg Researchによる会計不正の指摘を受け、NASDAQから年次報告書の提出を求められていた。当初の提出期限を守ることができなかったことで、上場廃止の可能性が懸念されていたが、同社は新たな監査法人を確保し、提出期限の延長を申請。この対応によって市場の不安が和らぎ、投資家の関心が再び高まったと考えられる。

また、2025年第2四半期の決算発表が近づいており、これが今後の株価の動きを左右する要因となっている。特に、決算内容だけでなく、NASDAQが求める年次報告書の提出に関する新たな情報が示される可能性がある。市場はこの発表を注視しており、仮にポジティブな内容であれば株価はさらなる上昇を遂げるかもしれない。

テクニカル分析が示す65ドルの可能性

株価の動きを示すテクニカル指標では、「ブル・フラッグ」と呼ばれるチャートパターンが形成されている。これは、急上昇の後に一時的な調整を経て、再び上昇に転じる典型的な形であり、多くのテクニカルアナリストが強気のシグナルとして注目する要素だ。

このパターンを基にした分析では、Super Microの株価は短期的に65ドルに達する可能性があると指摘されている。特に、直近の株価が200週移動平均線のサポートを受けて反発したことが、このシナリオを後押ししている。過去のケースでは、同様のパターンが発生した際、一定の価格上昇が確認されており、これが再現される可能性は十分に考えられる。

また、2020年以降のSuper Microの株価推移を見ると、同社の株価は「ブル・フラッグ」形成後、約1.5倍のフィボナッチ・エクステンション水準に到達することが多かった。この点を考慮すると、現在の株価水準から65ドルへの上昇は、過去の動きを踏まえれば十分に理論的な範囲内にあると考えられる。ただし、NASDAQの提出期限延長の可否など、外部要因が大きな影響を与えるため、慎重な見極めが必要だ。

今後の課題とリスク要因

一方で、Super Microの株価上昇にはリスクも伴う。最大の懸念点は、NASDAQが求める年次報告書の提出が再び遅延する可能性である。現在のところ、同社は2024年2月25日までに提出することが求められているが、さらに180日間の延長を申請すると見られている。この期限の延長が承認されなかった場合、NASDAQ市場からの上場廃止リスクが再び浮上する可能性がある。

また、決算発表の内容次第では、市場の期待を裏切る結果となる可能性も否定できない。仮に売上や利益が市場予測を大きく下回った場合、現在の株価上昇の流れが一気に逆転するリスクがある。さらに、テクニカル分析で示された65ドルという水準も、あくまでパターンに基づいた予測であり、実際の市場動向に影響を受けることは言うまでもない。

さらに、Super Microは競争の激しいハードウェア市場に属しており、同業他社との競争激化も懸念される。特に、生成AIの発展によってデータセンター向けハードウェアの需要が変化しつつあるため、今後の市場動向が同社の事業にどのような影響を与えるのかも注視する必要がある。

以上の点を踏まえると、Super Microの株価は短期的に65ドルに達する可能性があるものの、長期的な安定には慎重な判断が求められる。NASDAQの提出期限や決算発表の結果が大きな鍵を握っており、今後の展開に注目が集まる。

Source:Finbold