AI活用の防衛技術で注目を集めるパランティア・テクノロジーズに続き、サンディエゴを拠点とするクレイトス・ディフェンス&セキュリティが注目株として浮上している。同社は無人航空システムやサイバーセキュリティなどの分野で独自の地位を築きつつある。2024年第3四半期には売上高2億7,590万ドルを記録し、極超音速試験装置プロジェクトなど大型契約の獲得も相次いだ。
さらに、新たな製造施設の拡充やドローン事業の拡大が進む中、年間400機の生産能力を持つ無人システムで業界のリーダーを目指している。これらの要素から、同社は次世代の防衛テクノロジー分野で飛躍を遂げる可能性があると評価されている。
クレイトスの成長戦略 極超音速と無人システムが鍵を握る
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クレイトス・ディフェンス&セキュリティは、2025年以降の成長戦略として極超音速技術と無人システムの強化を掲げている。極超音速試験装置の開発では、2025年1月に同社史上最大の14億5,000万ドル規模の契約を獲得し、国防関連の技術力を示した。これに加え、1億ドル規模の極超音速システムプログラムも進行中であり、今後数年間でこの分野の研究開発費が急増する見込みである。
無人システム分野では、米海兵隊の「ヴァルキリー」ドローン試験の成功に加え、新たに「アテナ」「アポロ」といったプログラムの契約を確保した。現在、年間165機のジェットドローンを生産しているが、最大400機まで生産能力を拡大できるとされ、国防用途の無人機需要の高まりに応える体制を整えている。
このような動きの背景には、世界各国で進む次世代戦闘システムの需要増加がある。特に米国では、国防総省が無人機や極超音速兵器の開発を優先事項としており、クレイトスの技術力と競争力は今後さらに強化される可能性がある。ただし、同業他社との競争は激化しており、今後の市場動向と受注状況によっては成長ペースが左右されることも考えられる。
防衛株としての投資妙味 高評価と高リスクが交錯
クレイトスは2024年に入り株価が30%以上上昇し、2025年初頭も引き続き強気相場を形成している。しかし、ウォール街のアナリストによる目標株価は平均29.18ドルであり、現在の水準より約15%低い。このため、一部では過熱感を指摘する声もある。
現在、クレイトスの売上高は11億4,000万ドルに達し、2025年には12億8,000万ドルが見込まれる。調整後EPSも0.42ドルから0.58ドルへと拡大する予測があるが、P/E比(株価収益率)は57.5倍と割高感が否めない。売上高に対する株価の倍率(P/S比)も4倍であり、短期的な収益成長が期待される一方で、バリュエーションの高さがリスク要因となっている。
投資家の関心が高まる中、専門家の見解も分かれている。例えば、パランティア株の急騰を予測したスティーブン・ギルフォイル氏は、クレイトスを「次のブレイクアウト防衛株」と評価した。一方で、他のアナリストの中には「中立」のスタンスを取る者もおり、事業の成長がバリュエーションに見合うか慎重に見極めるべきだと指摘する。
クレイトスの成長性は明らかだが、現在の株価水準はリスクを伴う。今後の受注状況や財務指標の変化によって、投資判断が大きく左右される局面を迎える可能性がある。
Source:Barchart