Nvidia(NASDAQ: NVDA)が最新の13Fファイリングを公開し、株式ポートフォリオの大幅な入れ替えを実施した。AI向けGPU市場での支配的地位を維持する同社は、競争優位性を確保するために、戦略的な投資を行っている。
今回の報告書によると、NvidiaはSoundHound AI(SOUN)、Serve Robotics(SERV)、Nano X Imaging(NNOX)の全株を売却。さらに、Arm Holdings(ARM)の保有株を43.83%削減した。これにより、SERV株は38.44%の急落を記録したが、ARM株は安定した値動きを維持した。
一方、新たにポートフォリオに加えたのはNebius Group(NBIS)とWeRide(WRD)の2銘柄。NBISはAIおよびデータセンターインフラを提供する企業であり、WRDは中国の自動運転スタートアップとして知られる。投資発表後、WeRideの株価は86.43%の急騰、Nebius Groupは5.61%の上昇を記録した。
Nvidiaの新規投資額は、Nebius Groupに約3,297万ドル、WeRideに約2,465万ドル。特に自動運転関連企業への直接投資は2024年第1四半期以来となる点も注目される。Nvidiaの動向は、今後のAIおよび自動運転市場の方向性を示す可能性が高い。
Nvidiaのポートフォリオ戦略 急成長市場への積極投資が鮮明に

Nvidiaの最新の株式ポートフォリオ更新により、同社の投資戦略の方向性が浮き彫りになった。AIや自動運転技術などの成長分野に焦点を当て、新興企業への投資を強化している。背景には、半導体市場の競争激化と、AI市場のさらなる拡大がある。今回の投資先であるNebius GroupとWeRideの選定は、Nvidiaがどの領域に注力しているのかを示唆している。
WeRideへの投資が意味するもの Nvidiaが見据える自動運転の未来
Nvidiaが新たに投資した**WeRide(NASDAQ: WRD)**は、中国を拠点とする自動運転技術のスタートアップ企業である。同社はロボタクシーや自動運転バスの開発を進め、すでに中国国内で実証実験を行っている。WeRideは、NvidiaのGPUを活用したAIアルゴリズムを駆使し、高度な自律走行システムを構築している点が特徴だ。
近年、中国政府は自動運転技術の推進を強化し、多くの企業が市場参入を加速させている。その中でWeRideは、政府支援の恩恵を受けながら、独自の技術開発を進めている。同社の技術は、競合のPony.aiやBaidu Apolloと並ぶ水準にあり、今後の成長が期待されている。NvidiaがWeRideに投資したことは、同社が中国の自動運転市場において強い関心を持ち、AI技術の活用領域を拡大しようとしていることを示唆している。
さらに、Nvidiaの自動運転分野への投資は、同社のプラットフォーム戦略とも密接に関連している。Nvidiaは「Drive」プラットフォームを通じて、自動運転向けのエッジAIコンピューティング技術を提供しており、WeRideとの連携により、より高度な技術開発が進む可能性がある。
Nebius Groupへの投資が示すデータセンター市場の変化
Nvidiaが新たに投資した**Nebius Group(NASDAQ: NBIS)**は、AIおよびデータセンター向けのインフラを提供する企業である。同社はクラウドコンピューティングやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)に特化したサービスを展開しており、特にAIワークロード向けのソリューションに強みを持つ。
近年、AIの普及に伴い、大規模データセンターの需要が急増している。特に、生成AIの進化により、データセンターの処理能力向上が求められており、これがNvidiaのGPU需要を押し上げている。Nebius Groupは、こうした市場の動きに対応する企業の一つであり、Nvidiaが同社に投資した背景には、データセンター市場の拡大を見据えた戦略があると考えられる。
また、NvidiaはAI向けのGPU供給だけでなく、データセンターインフラ全体のエコシステム構築にも取り組んでいる。Nebius Groupの技術とNvidiaのハードウェアを組み合わせることで、より効率的なAIデータセンターの構築が可能となる可能性がある。これは、クラウド事業者だけでなく、企業のオンプレミス環境におけるAI導入の加速にもつながる。
今回の投資により、Nvidiaは自社のGPU市場の拡大だけでなく、データセンター向けのAIソリューションの提供範囲を広げる狙いがあるとみられる。データセンター市場が今後も成長を続ける中、Nvidiaがどのような戦略を展開するのか注目される。
Source:Finbold