金価格(XAU/USD)は2,877ドルまで下落した後、わずかに回復し2,900ドル付近での攻防を続けている。短期的には上昇傾向を維持しているものの、依然として売り圧力が強く、高値を更新するにはさらなる勢いが必要だ。
市場は現在、2,880ドルのサポートと2,904.7ドルのレジスタンスに注目しており、これらの水準を突破すれば次の方向性が明確になるとみられる。米国の貿易摩擦の影響や米連邦準備制度(FRB)の政策が金価格の変動要因として注目されている。
特に、トランプ前大統領の関税政策や今後のFOMC議事録の発表が、市場にどのような影響を及ぼすのかが焦点となる。こうした背景の中、AIの分析では2025年第1四半期までに金価格が3,000ドルに達する可能性が示唆されており、市場の期待が高まっている。
金価格の転換点 2,904.7ドルの突破がもたらす市場の変化

金価格は2,900ドル前後で推移しながらも、2,904.7ドルという重要なレジスタンス水準の突破を試みている。この水準は市場の心理的な壁となっており、突破すればさらなる上昇が見込まれる。一方で、ここを超えられなければ、再び2,880ドル付近のサポートを試す可能性が高まる。
テクニカル分析では、2,904.7ドルを超えた場合、次のターゲットは2,922.6ドル、さらにその先には2,938.45ドルが控えている。逆に、2,880ドルを明確に下回った場合、下落基調が強まり、さらなる調整が発生する可能性がある。このレベルは短期トレンドの分岐点となるため、慎重に見極める必要がある。
市場のボラティリティを高めているのは、FRBの金融政策の不透明感や地政学的リスクである。特に、今後発表されるFOMCの議事録や雇用統計の結果が、金市場のセンチメントを左右する要因として注目されている。こうした指標が強気のシグナルを示せば、金は3,000ドルへの上昇に向けた新たなステージに入る可能性がある。
貿易戦争の影響 トランプ氏の関税政策が金市場を動かす要因に
金価格の変動を考える上で、ドナルド・トランプ前大統領の関税政策も見逃せない。彼は「相互関税(reciprocal tariffs)」の導入を示唆しており、これが再び世界的な貿易戦争の引き金となる可能性が指摘されている。特に、4月2日までに自動車輸入に関する関税措置が講じられる可能性があり、これが市場に波及することは避けられない。
関税政策が実施されれば、米国と主要貿易相手国との関係が悪化し、金融市場全体の不安定要因となる。これにより、リスク回避の動きが強まり、金の需要が高まる可能性がある。歴史的に見ても、貿易戦争が勃発すると安全資産としての金が買われる傾向があるため、市場の動向を注意深く監視する必要がある。
また、FRBの金融政策と貿易摩擦が同時進行することで、市場のボラティリティはさらに増す可能性がある。現在の金市場は複数の要因に影響を受けており、短期的な価格変動が続くことが予想される。この状況下では、重要なサポートとレジスタンスを見極めながら、慎重な対応が求められる。
AIモデルの予測 3,000ドル到達の現実味を検証する
現在の金価格の推移を見ると、AIモデルは2025年第1四半期までに3,000ドルへ到達する可能性を示している。この予測が実現するためには、今後1か月で3.39%の上昇が必要だが、直近1か月で金が6%上昇したことを考えると、決して非現実的な数値ではない。
AIの分析では、金価格の上昇を支える要因として、地政学的リスクの高まり、FRBの金融政策の変更、そして貿易摩擦の影響を挙げている。特に、ドルの動きが大きく影響する可能性があり、米国経済の減速が明確になれば、金への資金流入が加速する可能性がある。
一方で、金価格の上昇には強固なサポート水準の維持が不可欠である。現時点でのサポートは2,880ドル付近とされており、ここを下回れば短期的な下落圧力が強まる。3,000ドルへの到達には、まずこのサポートを維持しながら、レジスタンス水準を一つずつ突破することが求められる。
金市場は依然として強気ムードが続いているが、外部要因の影響を受けやすい状況にある。FRBの動向や貿易戦争の行方が、市場にどのような影響を及ぼすのかを慎重に見極める必要がある。
Source:Finbold