Snowflake(NYSE: SNOW)の株価が年初から19%上昇し、市場で注目を集めている。特に、Alphabet(NASDAQ: GOOGL)が同社株をすべて売却したことが話題となっており、今後の株価動向に影響を与える可能性がある。

Alphabetは2024年第4四半期に保有していた114,554株を市場に放出し、前四半期からの売却を含めると合計で42万1,050株を手放した。これにより、Alphabetは約2,000万ドルの利益を得たとされるが、同社の規模を考えると影響は限定的だ。一方、SnowflakeはAI技術の強化を進め、新たな成長戦略を打ち出しており、市場の関心が集まっている。

2月26日に予定されている決算発表では、売上・利益の市場予測を上回るかが焦点となる。もし強気の見通しが示されれば、株価のさらなる上昇も期待される。

AlphabetのSnowflake株売却が持つ市場への影響とは

Alphabetが2024年第4四半期までに保有していたSnowflake株をすべて売却したことは、短期的な株価変動だけでなく、Snowflakeの今後の市場戦略にも影響を及ぼす可能性がある。Alphabetは2024年第3四半期に42万1,050株、続く第4四半期には114,554株を市場に放出し、売却による利益は約2,000万ドルに達したとみられる。これによりAlphabetの財務状況に大きな変化は生じないものの、Snowflake側には新たな局面が訪れることになる。

まず、Alphabetが保有していたSnowflake株の売却は、機関投資家の構成変化を意味する。大手テクノロジー企業が特定の企業への出資を取りやめることは、市場心理に影響を与える要素となり得る。特にAlphabetのようなクラウド市場の主要プレイヤーが競合する企業の株式を売却した背景には、今後の事業戦略が関係している可能性がある。AlphabetはGoogle Cloudを強化しており、データクラウド分野での競争が激化する中で、Snowflakeとの直接的な関係を見直した可能性もある。

一方で、この売却がSnowflakeの株価に与えた影響は限定的だった。売却完了後も同社の株価は堅調に推移しており、年初来で19%の上昇を記録している。このことから、Alphabetの株式売却は市場におけるSnowflakeの評価を決定づける要因ではなく、むしろSnowflake自身の成長戦略や業績見通しが株価の動向を左右していると考えられる。

Snowflakeが描くAI時代の成長戦略と市場の期待

Snowflakeはデータクラウド市場において強固なポジションを確立しており、近年はAI技術の統合を強化することで、さらなる成長を狙っている。特に、Anthropic社との提携を通じた「Snowflake Cortex AI」の開発は、同社の将来的な競争力を高める重要な戦略のひとつとされる。現在、1,000件以上のAI活用事例を展開しており、これが企業顧客のデータ処理能力向上に寄与している。

また、2024年に発表された新CEOスリダー・ラマスワミ氏のリーダーシップのもと、SnowflakeはさらなるAI・機械学習機能の強化に注力している。同氏はGoogleでの検索部門責任者を務めた経験を持ち、データ活用とAI分野での専門性を有している。この新経営体制のもと、Snowflakeは単なるデータクラウドプロバイダーから、より高度な分析基盤を提供する企業へと変貌を遂げる可能性がある。

市場もこの戦略に期待を寄せている。アナリストの予測では、Snowflakeの売上は2027年度までに55億ドルに達し、フリーキャッシュフローは15億ドルまで拡大すると見込まれている。また、2025年度の製品売上高は34.3億ドルと予測されており、AIを活用した新規事業の成長がこの売上高達成の鍵を握ると考えられている。

AI市場は急速に拡大しており、Snowflakeがいかにしてこの流れを活かせるかが今後の成長を左右する。AI・データ分析の分野では、すでにAmazon、Microsoft、Googleといった競合企業が市場シェアを争っており、Snowflakeはこれらのクラウドサービスと連携しつつも独自の強みを打ち出す必要がある。特に、クラウド環境を選ばずに運用できる点や、データガバナンス機能の充実が競争優位性となるだろう。

決算発表と今後の株価見通し – 強気相場は続くのか

2月26日に予定されている決算発表は、Snowflakeの今後の株価動向を占う重要なイベントとなる。市場はEPS(1株当たり利益)を0.18ドル、売上を9億5,584万ドルと予想しており、過去2回の決算で市場予測を上回った実績を考えると、今回も良好な業績が期待される。

もし、売上・利益ともに市場予測を超える結果を発表すれば、株価の上昇トレンドが継続する可能性が高い。特に、AI関連の成長戦略に関する前向きなガイダンスが示されれば、市場の期待感がさらに高まるだろう。一方で、予測を下回る結果が出た場合、短期的な売り圧力が発生する可能性もあるため、決算内容には慎重な目線が必要だ。

また、Alphabetの株式売却が完了したことで、機関投資家の動向も注目される。新たな大口投資家が参入することで株価の安定感が増す可能性もあるが、逆にSnowflakeの成長戦略に不安要素があれば、短期的な調整が生じるかもしれない。特に、2024年にはCEO交代が行われたばかりであり、新体制のもとでどのような成長戦略が打ち出されるかが、市場の判断材料となる。

全体的に見れば、SnowflakeはAI分野の成長を追い風に、引き続きクラウド市場での存在感を強めていくことが予想される。データクラウドの需要は今後も増加傾向にあり、企業のデータ戦略がますます重要視される中で、Snowflakeが持つ独自の技術力と市場競争力がどこまで発揮されるかが鍵を握る。

Source:AskTraders