米国ジョージア州第14選挙区選出の下院議員、マージョリー・テイラー・グリーン氏が、2月12日に約40万ドル相当の投資を行ったことが明らかになった。彼女は米国債に10万1ドルから25万ドル、残りの資金をエネルギー、テクノロジー、輸送、金融など多岐にわたる10銘柄の株式に分散投資した。

特に、政府向けデータ分析を手掛けるパランティア・テクノロジーズ(NYSE: PLTR)への投資は、彼女が対テロ・インテリジェンス小委員会に所属していることから、インサイダー取引の可能性が指摘されている。議員による株式取引は、内部情報へのアクセスが可能であることから、常に注視されるべきである。

グリーン議員の投資戦略とその特徴

マージョリー・テイラー・グリーン議員の2月の投資は、合計40万ドルに及ぶものであり、投資対象は米国債を筆頭に、多様な企業に分散されている。この投資戦略には、いくつかの注目すべき特徴がある。

まず、米国債の購入が含まれている点が特筆される。株式市場の変動が激しい中で、安全資産とされる米国債に一定額を投入するのはリスク管理の一環とみられる。特に、2024年の米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが期待される状況では、債券市場が注目を集めている。グリーン議員がこの流れを意識した可能性は否定できない。

一方で、彼女が購入した株式は、テクノロジー、エネルギー、物流、金融と幅広い分野にまたがっている。特に、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)といったテクノロジー大手への投資は、安定性と成長性の両方を見込んだものと考えられる。加えて、エネルギー関連のデボン・エナジー(DVN)も購入されており、エネルギー価格の変動リスクを見据えた可能性がある。

また、ノーフォーク・サザン(NSC)やUPS(UPS)といった輸送関連企業への投資も注目される。物流業界は、世界的なサプライチェーンの混乱や燃料価格の影響を受けるが、長期的な成長が期待される分野でもある。彼女のポートフォリオは、短期的な利益よりも、幅広い市場の成長に対応する形で構築されているとみられる。

パランティア株購入の背景と疑問視されるポイント

グリーン議員の投資の中で、特に注目されているのがパランティア(PLTR)の購入である。この企業は政府向けのデータ分析を提供しており、防衛や国家安全保障分野での契約を多く持つ。そのため、政府関係者による取引は慎重に見られる傾向にある。

パランティアは2024年初頭から急速に株価が上昇しており、企業の成長性への期待が反映されている。しかし、株価売上倍率(P/S比率)が100倍を超えるなど、一部の市場関係者からは過大評価の懸念が指摘されている。グリーン議員がこの時期に購入したことが、市場のトレンドを見越したものなのか、それとも政治的背景が影響しているのかは不明だ。

また、彼女が対テロ・インテリジェンス小委員会に所属している点も、投資判断に影響を与えた可能性がある。パランティアの技術は政府の情報機関でも活用されており、同委員会のメンバーとして、同社に関する詳細な情報を得ていた可能性がある。そのため、一部の市場関係者は、この取引が単なる投資判断に基づくものか、それとも職務上の情報が関与しているのかに注目している。

米国では議員の株式取引を規制するSTOCKS法が存在するが、抜け穴も指摘されている。今回の取引が同法の範囲内であるかどうかについては、今後も監視が続くとみられる。

議員による株取引の透明性と今後の規制強化の可能性

米国議会における株式取引の透明性は、近年大きな議論の的となっている。特に、ナンシー・ペロシ前下院議長の成功した投資が注目を集め、議員が市場の内部情報を利用して利益を上げているのではないかという疑念が広がっている。

グリーン議員は、ペロシとは異なる政治スタンスを持つものの、株式市場で活発に取引を行っている点では共通している。米国では議員による株式取引の公開が義務付けられているが、申告範囲が広いため、具体的な取引額やタイミングが不透明なケースも多い。今回のグリーン議員の投資も、1,001ドルから15,000ドルの範囲で報告されており、実際の取引額ははっきりしない。

このような状況を受け、米国では議員の株取引を禁止する動きも加速している。**「議員の取引禁止法案」**がたびたび提出されているが、未だ成立には至っていない。政治家による株式投資が今後どのように規制されるかは、今後の米国市場の透明性にも影響を与える重要なテーマとなるだろう。

Source:Finbold