アマゾン(NASDAQ: AMZN)の2024年第4四半期決算は市場予想を上回る好成績となったが、同社の発表した業績予想が弱気だったため、株価は一時的に急落した。決算発表後の取引で株価は238.74ドルから229.15ドルまで下落し、市場の反応は冷ややかだった。

しかし、ウォール街のアナリストは総じて強気の姿勢を維持しており、決算後に株価目標を更新した。シティのロナルド・ジョージーは目標株価を273ドルに設定し、現在の水準から約18.57%の上昇余地があると見ている。マキシム・グループのトム・フォルテは目標株価を280ドルに引き上げ、バークレイズのロス・サンドラーも265ドルに修正するなど、多くのアナリストが今後の成長余地を評価している。

市場の懸念の一因となったのは、アマゾンが発表した2024年第1四半期の売上予測だ。同社は1,510億ドルから1,555億ドルの範囲と予測し、市場予想の1,585億ドルを下回った。これが投資家の失望を招いたが、一部アナリストは為替の影響や一時的なコストを要因として指摘し、「下落局面は買いの好機」との見解を示している。AWSの成長や小売事業の強さを考慮すれば、中長期的には株価の回復が期待される可能性がある。

決算を上回ったにもかかわらず株価が下落した背景

アマゾンの2024年第4四半期決算は、EPS(1株当たり利益)と売上高の両方が市場予想を上回る好調な結果となった。しかし、決算発表後に株価は急落し、市場の反応は予想外の展開となった。その要因のひとつが、同社が発表した2024年第1四半期の業績ガイダンスである。

アマゾンは売上予測を1,510億ドルから1,555億ドルの範囲と発表し、アナリストの予想1,585億ドルを下回った。この弱気なガイダンスが失望を呼び、一時的な売りが発生したと考えられる。特にハイテク株は将来の成長期待が株価に大きく影響するため、成長鈍化のシグナルと捉えられると市場の反応は敏感になる。

さらに、アマゾンのガイダンスには為替の影響が反映されており、ドル高が売上に悪影響を及ぼした可能性がある。加えて、一時的なコストとして920百万ドルのサーバー処分が発生しており、これが営業利益に圧力をかけた。このような一時的な要因が決算のポジティブな面を相殺し、投資家の警戒感を高めたと考えられる。

アナリストの評価が強気を維持する理由

市場が短期的にアマゾンの株価を下げた一方で、多くのアナリストは中長期的な成長余地を評価し、強気の見方を維持している。シティのロナルド・ジョージーは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の成長加速に期待を寄せ、目標株価を273ドルに設定。バークレイズのロス・サンドラーも目標株価を265ドルに引き上げた。

この強気の評価の背景には、AWSの堅調な成長がある。第4四半期のAWS売上は18.9%増加しており、クラウド市場におけるアマゾンの優位性が改めて示された。クラウド需要は引き続き拡大しており、特にAI分野での活用が加速していることから、AWSの成長が今後も持続すると見られている。

また、アマゾンのリテール事業も依然として強固であり、プライム会員の増加や物流の効率化が業績を支えている。市場の短期的な反応とは異なり、アナリストはこれらの基盤を評価し、中長期的な視点でアマゾンの成長ポテンシャルを見据えていると考えられる。

AIとクラウド競争の激化がもたらすリスク

アマゾンの強気評価が続く一方で、今後の成長に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因も指摘されている。特に、AI市場の競争激化とそれに伴う資本支出(CapEx)の増加が懸念材料として挙げられる。バークレイズのロス・サンドラーは、AWSの成長を高く評価しつつも、AI開発に必要な設備投資が「急増する」可能性があると警告している。

AI分野では、マイクロソフトやグーグルなどの競合が巨額の投資を進めており、アマゾンもそれに対抗するための開発資金を確保する必要がある。これにより短期的には利益率が圧迫される可能性があり、市場がこの動きをどのように評価するかが株価に影響を与えると考えられる。

また、AWSの成長を支えるクラウド市場も、競争が激化している。企業のIT支出が景気変動の影響を受けやすく、特に経済が減速する局面ではクラウドサービスの成長が鈍化するリスクがある。この点を踏まえると、アマゾンの株価は今後も変動が激しくなる可能性がある。

市場の短期的な懸念と長期的な成長期待が交錯する中、アマゾンがどのように戦略を展開し、競争優位性を維持するかが注目される。

Source:Finbold