Appleの株価は過去9か月間で約40%の上昇を遂げ、多くのアナリストが強気の評価を下しているが、一部には慎重な見方も存在する。オッペンハイマーは、Appleの格付けを「ニュートラル」に引き下げ、今後12〜18か月のiPhone販売見通しを下方修正した。この背景には、中国市場での競争激化と新機能「Apple Intelligence」の期待外れが挙げられている。特に中国では、規制の影響で最新iPhoneに「Apple Intelligence」が搭載されておらず、これが販売減少につながる可能性が指摘されている。
テクノロジー調査会社Canalysのデータによると、Appleの2024年の中国での出荷台数は17%の減少が予測されており、中国市場でのシェア低下が懸念される状況だ。Appleは今週、最新の四半期決算を発表する予定であり、アジア市場における売上高の微増にとどまるとの予測も出ている。これらの要因は、Appleの中長期的な成長戦略に対して新たな不確実性をもたらしており、投資家は今後の動向に注意を払う必要があるだろう。
iPhoneの販売見通しが下方修正された理由
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AppleのiPhone販売予測がオッペンハイマーによって下方修正された背景には、複数の要因が絡んでいる。その中でも特に大きな影響を与えているのが、中国市場での競争環境の変化と、新機能「Apple Intelligence」の市場における反応だ。
中国市場では、Huaweiをはじめとする国内メーカーが急速にシェアを伸ばしている。特に、Huaweiの最新スマートフォン「Mate 60 Pro」は、中国製の先端半導体を搭載し、米国の制裁にもかかわらず大きな注目を集めている。この動きは、Appleの市場シェアに直接的な影響を与え、iPhoneの販売減少につながっていると考えられる。
さらに、「Apple Intelligence」の展開も思うように進んでいない。WWDCで発表された新機能は、AI技術を活用したiPhoneの進化を示すものだったが、一部のユーザーにとっては魅力的なアップグレードとはならなかった。特に中国市場では、AI関連機能の一部が利用できないため、新機能を求めてiPhoneを買い替える動機が弱まっている。このような状況が続けば、AppleのiPhone販売台数の減少はさらに加速する可能性がある。
こうした市場環境の変化を受け、オッペンハイマーはiPhoneの販売見通しを慎重に見直し、Appleの格付けを引き下げた。今後の業績に影響を与える要因として、競争環境のさらなる悪化や、中国市場におけるAppleの立ち位置がどのように変化するかが注目される。
Appleの中国市場での苦戦がもたらす影響
Appleが中国市場で直面している厳しい環境は、単にスマートフォン販売の減少にとどまらない。中国市場はAppleにとって最大級の収益源の一つであり、この市場での業績悪化は、同社の全体的な成長戦略に大きな影響を与える可能性がある。
Canalysのデータによると、Appleの2024年における中国での出荷台数は17%減少すると予測されている。中国の消費者は、政府の支援を受けた国内メーカーの製品を選択する傾向が強まりつつあり、iPhoneのシェア低下は今後も続く可能性がある。さらに、米中間の貿易摩擦が影響し、政府機関におけるiPhoneの使用が制限される動きも報じられている。このような流れが加速すれば、Appleの中国市場における立場はさらに厳しくなる。
また、中国での売上減少は、Appleの収益構造にも影響を及ぼす可能性がある。特に、iPhoneの販売が減少すれば、それに連動してAppleのサービス事業の成長にもブレーキがかかる。Appleは近年、App StoreやApple Music、iCloudといったサービス事業を拡大し、ハードウェアに依存しない収益基盤の強化を進めてきた。しかし、iPhoneユーザーの減少は、この成長戦略に影響を与えかねない。
Appleが中国市場での地位を維持するためには、現地の消費者ニーズに適応した戦略が不可欠となる。特に、競争力のある価格設定や、現地市場向けの独自機能の開発が求められる。これらの対応が遅れれば、中国市場での苦戦は長期化する可能性がある。
Appleの決算発表が今後の市場に与える影響
Appleは今週、最新の四半期決算を発表する予定であり、その内容が市場に与える影響は大きい。特に、中国市場の業績がどの程度落ち込んでいるか、そしてAppleが今後どのような戦略を打ち出すかが注目されている。
Visible Alphaのデータによると、Appleの中国(および日本を除くアジア全体)の売上高は前年比わずか2%増の316.5億ドルになると予測されている。この数字は、Appleの成長ペースが鈍化していることを示しており、投資家にとっては警戒すべき材料となる可能性がある。特に、過去9か月間の株価上昇を受けて、現在の水準が適正かどうかについて議論が高まることが予想される。
決算発表後の株価の動きも重要なポイントだ。市場はAppleの業績だけでなく、今後の成長見通しや経営陣のコメントにも敏感に反応する。仮に、中国市場に関する懸念が深まるような発言がなされれば、短期的な売り圧力が強まる可能性がある。一方で、サービス事業の成長や、次世代製品に関するポジティブな発表があれば、市場のセンチメントは改善するかもしれない。
Appleの決算は、単に同社の株価に影響を与えるだけでなく、テクノロジーセクター全体の動向にも波及する可能性がある。特に、ハードウェア市場に依存する企業や、中国市場で展開する企業にとっては、Appleの業績が今後の参考指標となる。したがって、Appleの決算発表とその後の市場の反応には、引き続き注目が集まるだろう。
Source:Investopedia