中古車販売のCarvana(CVNA)が第4四半期決算で市場予想を大幅に上回る業績を発表したにもかかわらず、株価は取引開始後に15%以上下落した。売上高は前年比46.3%増の35.5億ドル、1株当たり利益(EPS)は0.56ドルと予想を0.25ドル上回ったが、市場の反応は冷ややかだった。

株価下落の背景には、1月にHindenburg Researchが同社の財務慣行を厳しく批判した影響が残っている可能性がある。さらに、過去1年間で株価が急騰したことによる利益確定売りも考えられる。

Carvanaは2025年の大幅な成長を見込んでおり、業績面での懸念材料は少ない。しかし、中古車市場を取り巻く環境や投資家心理の不安定さが、同社の評価を左右し続ける可能性が高い。

Carvanaの業績は市場予想を大幅に上回るも、株価はなぜ急落したのか

Carvanaは第4四半期において売上高35.5億ドル、1株当たり利益(EPS)0.56ドルを記録し、いずれも市場予想を上回った。年間の売上高は136.7億ドルに達し、小売販売台数は前年比33%増の41万6000台となった。これにより、同社は過去最高の業績を達成したが、市場はこれを好意的に受け止めなかった。

決算発表後、同社の株価は15%以上急落し、238.66ドルまで下落した。この動きの背景には、投資家の利益確定売りの影響があった可能性がある。過去1年間でCarvanaの株価は約360%上昇しており、短期間で大幅な上昇を経験した銘柄では、決算発表後に利益を確定する売りが集中しやすい。また、株価急騰に伴い、市場が業績の継続的な成長に対して慎重になっていることも影響していると考えられる。

さらに、同社の財務慣行をめぐる懸念が根強く残っていることも見逃せない。Hindenburg Researchは1月にCarvanaを「史上最大の会計詐欺」と指摘し、同社のサブプライムローン戦略に疑問を投げかけた。この指摘が一部の市場関係者に影響を与え、慎重な投資判断を促した可能性もある。業績は堅調ながらも、株価のボラティリティの高さが投資家心理に与える影響は小さくない。

Hindenburg Researchの批判とCarvanaの財務リスク

Carvanaに対するHindenburg Researchの批判は、市場の警戒感を高める要因となった。1月初旬、同社はCarvanaの成功を「会計上のからくりによるもの」と厳しく非難し、特にサブプライムローンの審査基準の甘さや、不透明な財務戦略を問題視した。Hindenburg Researchは過去にもEVメーカーNikolaやAdani Groupをターゲットにし、大きな市場の動揺を引き起こしている。

サブプライムローンへの依存は、景気後退局面において企業の収益性を脅かすリスクがある。金利上昇により消費者のローン返済負担が増せば、不良債権の増加につながる可能性がある。Carvanaの業績が好調であることは間違いないが、ローンポートフォリオの健全性については依然として不透明な部分が多い。特に、中古車市場は景気変動の影響を受けやすく、需要が鈍化すれば同社の収益基盤に影響を及ぼす可能性がある。

また、Carvanaは2022年に破産寸前の状況に陥った過去があり、その際に時価総額は約4億ドルにまで落ち込んだ。しかし、その後のコスト削減策や業務の効率化により急回復を遂げた。こうした背景があるため、同社の財務体質に対する市場の見方は二分されており、楽観視できない部分もある。

2025年の成長見通しとCarvanaが直面する課題

Carvanaは2025年にさらなる成長を見込んでおり、小売販売台数と調整後EBITDAの拡大を計画している。CEOのアーニー・ガルシアは「業界をリードする成長を続けている」と自信を見せており、今後も市場シェアの拡大を目指す構えだ。しかし、成長の持続にはいくつかの課題が伴う。

まず、中古車市場自体の変動リスクが挙げられる。景気の先行きが不透明な中で、消費者の購買意欲が低下すれば、Carvanaの販売台数増加が鈍化する可能性がある。また、金利動向も同社にとって重要な要素となる。高金利環境が続けば、消費者のローン借り入れ意欲が減退し、販売に悪影響を及ぼす可能性がある。

次に、競争の激化も無視できない。Carvanaはオンライン販売に強みを持つが、大手自動車ディーラーもデジタル販売への移行を進めており、競争環境は厳しくなりつつある。また、Carvanaの事業モデルは物流コストが高く、コスト構造の最適化が引き続き課題となるだろう。

同社の成長には依然として不確実性がつきまとうが、短期的な株価の変動だけで判断するのは早計かもしれない。市場環境が安定すれば、Carvanaがさらなる成長を遂げる可能性は十分にある。今後の決算や財務状況を注視することで、同社の将来性がより明確になるだろう。

Source:Wall Street Pit