NVIDIA(NASDAQ: NVDA)は、2025年第4四半期の決算で好調な業績を発表したものの、株価は下落基調にある。2月末には200日移動平均線を割り込み、2023年1月以来の弱気シグナルが点灯。3月に入り、トランプ前大統領が発表した関税措置とそれに対する中国の報復が市場の不安を加速させた。

著名アナリスト「basictradingtv」は、過去の価格推移とテクニカル指標から、NVDA株が40%下落し70ドルに到達する可能性を指摘。一方、ウォール街の一部では依然として強気の見方が根強い。110ドルが重要なサポートラインとなる中、市場は今後の動向を注視している。

NVIDIA株の下落要因 米中関税と市場心理の影響

NVIDIA株は、2025年第4四半期の好調な決算発表にもかかわらず下落傾向にある。その背景には、米中関係の悪化が大きく影響している。3月3日、トランプ前大統領は2月1日に発表した関税措置を即日発動すると発表。これを受け、中国は直ちに報復関税を決定し、米中貿易戦争の再燃が懸念された。この動きに市場は即座に反応し、特に半導体関連銘柄に対する売り圧力が強まった。

NVIDIAはAI分野やデータセンター向けチップで急成長を遂げているが、その事業の一部は中国市場に依存している。2023年以降、米国の対中輸出規制によりNVIDIAのハイエンドGPU販売は制限されており、さらに新たな関税が追加されれば、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。このため、一部の投資家は慎重な姿勢を取り、利益確定の動きが強まったと考えられる。

市場心理の面でも不安が広がっている。2月末にNVIDIA株は200日移動平均線を下回り、テクニカル的な弱気シグナルが発生。これにより、短期的な売り圧力が高まり、3月第1週の急落につながった。短期間での回復を期待する声もあるが、米中関係の不透明感が続く限り、ボラティリティの高い状態が続く可能性がある。

テクニカル分析が示す40%下落の可能性

著名アナリスト「basictradingtv」は、過去の価格推移とテクニカル分析を基に、NVIDIA株が40%近く下落し、70ドル付近まで落ち込む可能性を指摘している。これまでの株価推移を見ると、NVDA株は一定のレジスタンスラインに到達するたびに下落を繰り返してきた。今回も同様のパターンが繰り返される場合、現在の114ドル水準からさらに大きな調整が発生する可能性がある。

現在、110ドルが重要なサポートラインとされており、これを明確に割り込むと100ドルまでの下落が視野に入る。ただし、逆に110ドルを維持できれば、短期的な反発の余地もある。特に、5日および20日移動平均線が位置する123ドルと129ドルが回復の目安となる。市場のセンチメント次第では、この水準までの上昇も考えられる。

ただし、テクニカル分析はあくまで過去のデータを基にした手法の一つであり、必ずしも将来の価格を決定づけるものではない。ウォール街の一部では、NVIDIAの成長力を評価し、中長期的には依然として上昇余地があるとの見方も根強い。よって、短期的な弱気シグナルと長期的な強気の見方が交錯する中、投資家の選択が今後の株価動向を左右することになる。

ウォール街の評価は依然強気 長期成長の可能性

一方で、ウォール街の一部では依然としてNVIDIAの成長力に期待する声が多い。Bernsteinのアナリスト、トム・オマリー氏は3月4日に、185ドルという目標株価を再確認。彼は、NVIDIAがSOX半導体指数に対して相対的に割安であり、S&P500と比較してもプレミアムは限定的であると指摘。これは2016年以来最も低い水準であり、今こそ買いの好機であると評価している。

また、NVIDIAの事業基盤は依然として強固だ。AI、データセンター、自動運転技術向けのチップ需要は堅調であり、クラウドコンピューティングの拡大も追い風となっている。さらに、過去の決算では市場予想を超える成長を見せており、その実績が今後の業績見通しを支えている。短期的な市場の混乱やテクニカル要因による売りがあったとしても、長期的には再び上昇軌道に乗る可能性は十分にある。

ただし、短期的なリスク要因としては、米中関税の影響や金利動向が挙げられる。特に、米国の利上げや景気後退懸念が強まれば、ハイテク株全般に対する圧力が続く可能性もある。市場は現在、楽観と悲観の間で揺れ動いており、NVIDIAの株価はその象徴的な存在となっている。

Source:Finbold