S&P 500は2024年に約25%の上昇を記録し、市場は強気ムードが続いていた。しかし、2025年に向けては慎重な見方が強まり、オッペンハイマーのジョン・ストルツファス氏の予測でも最大17.54%の上昇にとどまるとされていた。
現在の市場環境を見ると、貿易戦争による経済摩擦やインフレ懸念が株価の上昇を抑える要因となっている。一方で、テクニカル指標では依然として上昇トレンドが維持されており、TradingShot氏は過去のパターンを分析し、6,900ポイント到達の可能性を示唆する。
市場の変動要因が多い中、S&P 500が今後どのような動きを見せるかは不透明だ。ただ、AIの進展や過去の相場パターンを考慮すれば、大幅上昇の可能性は否定できない。
S&P 500の上昇シナリオ AIと市場環境が与える影響

S&P 500は2024年に約25%の上昇を遂げ、強気相場が続いた。しかし2025年に向けた見通しは分かれており、オッペンハイマーのジョン・ストルツファス氏はAIの進展を背景に17.54%の上昇を予測する一方、さらなる急騰を想定する意見は少ない。
現在、S&P 500の上昇を支える要因のひとつがAI関連企業の成長である。生成AIの発展が続く中、テクノロジー株の需要は依然として高い。半導体やデータセンター関連企業は引き続き市場を牽引しており、特にエヌビディアやマイクロソフトなどの企業は堅調なパフォーマンスを示している。
一方で、貿易摩擦やインフレリスクは上昇を妨げる要因となる可能性がある。G20諸国間の経済摩擦が継続すれば、関税の引き上げによる企業収益の圧迫や、消費の減退につながる懸念もある。インフレ動向やFRBの金融政策次第では、市場のボラティリティが高まる可能性もあるだろう。
テクニカル指標が示唆するS&P 500の行方
S&P 500は現在、上昇チャネル内で推移しており、テクニカル的には強気のシグナルが続いている。TradingShot氏の分析によると、2022年10月の底値以降、指数は一貫してチャネルアップのパターンを形成しており、この傾向が継続すれば6,900ポイントへの到達も視野に入る。
テクニカル指標の中でも注目されるのが200日移動平均線(200MA)と相対力指数(RSI)である。S&P 500は2023年11月以来初めて200MAに接触しており、過去の事例から見ても反発の可能性がある。さらに、RSIが30付近まで低下しており、売られすぎのサインが点灯している。これまでの5年間を振り返ると、この水準は買い場となることが多く、その後の上昇局面につながる傾向が見られる。
ただし、過去の急騰時には上昇率が段階的に低下しており、今回も同じパターンが続くかは不透明だ。市場の流動性やマクロ経済環境の変化が影響を与えるため、テクニカル分析だけで一方向の判断をするのはリスクが伴う。市場心理や経済指標の動向にも注意が必要である。
6,900ポイントへの道のりは現実的か
TradingShot氏は過去の市場動向を分析し、S&P 500が次の上昇局面で20%の上昇を遂げ、6,900ポイントに到達する可能性を指摘している。しかし、この予測が実現するにはいくつかの条件が整う必要がある。
まず、AI関連株が引き続き市場のけん引役となるかが重要だ。特に、エヌビディアやAMDのような半導体関連企業の成長が続けば、S&P 500全体にもプラスの影響を与える可能性がある。しかし、AIブームが一時的なものであった場合、期待値の調整が入り、相場の勢いは鈍化する可能性もある。
また、マクロ環境の変化も無視できない。FRBの金融政策が市場に与える影響は大きく、利下げが行われれば株価の押し上げ要因となるが、インフレの再燃があれば逆に抑制要因となる。加えて、貿易摩擦や地政学リスクが高まる場合、投資家のリスク回避姿勢が強まり、上昇シナリオは崩れる可能性もある。
6,900ポイントの到達が現実的かどうかは、AIの成長持続性、金融政策の方向性、そして外部要因の影響に大きく左右される。これらの変数を慎重に見極めることが、今後の市場を予測するうえで不可欠である。
Source:Finbold