いよいよ米国新政権が発足し、投資家たちは今後の市場動向に注目している。特に、ドナルド・トランプ大統領が進める政策は特定の企業や産業に大きな影響を及ぼすと考えられる。すでに株式市場には変動が見られ、今後も政権の動向が投資判断に大きく影響することは確実だ。

市場では、特にエネルギー、テクノロジー、金融といったセクターが恩恵を受けると予測される。トランプ氏の経済政策は、規制緩和やインフラ投資の拡大を含み、これらの分野の成長を後押しする可能性がある。今回は、そうした流れを背景に、今後の市場で有望とされる3つの銘柄を紹介する。

エネルギー政策の変化がもたらす影響とオキシデンタル・ペトロリアムの展望

ドナルド・トランプ大統領のエネルギー政策は、石油・ガス業界にとって追い風となる可能性が高い。特に、環境規制の緩和や化石燃料の国内生産拡大が進めば、オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)をはじめとするエネルギー関連企業にとって事業拡大の好機となるだろう。

オキシデンタル・ペトロリアムは、米国内でのシェールオイル生産を主力とする大手企業であり、特にパーミアン・ベイスンでの生産規模を拡大している。すでに2024年第4四半期には日量143万~147万バレルの生産を見込んでおり、さらにクラウンロックの資産取得により生産力が強化される見通しである。トランプ政権が掲げる「掘れ、掘れ、掘れ(drill baby, drill)」のスローガン通り、シェールオイル産業の規制が緩和されれば、同社の成長余地は広がる。

一方で、エネルギー業界の成長は原油価格の動向に大きく左右される。トランプ政権下での政策がOXYにとって有利に働くとしても、OPECの生産調整や世界経済の動向次第では価格変動のリスクがつきまとう。また、長期的には脱炭素社会へのシフトが進むため、化石燃料への依存度が高い企業は、クリーンエネルギーへの適応も求められるだろう。

AIと電気自動車の融合が加速するテスラの競争力はさらに強まるか

テスラ(TSLA)は、EV市場のリーダーとして成長を続けているが、トランプ政権の政策が同社にとってどのような影響をもたらすかは、慎重に見極める必要がある。特に、EV市場の競争激化とAI技術の進展は、今後の事業展開に大きな影響を及ぼすだろう。

2025年には、テスラが新型EV「Model Q」を市場投入する予定であり、価格はサブ3万ドル(約450万円)と手頃な水準に設定される見込みだ。これは、競争が激化するEV市場において、テスラが新たなシェア拡大を狙う戦略の一環と考えられる。さらに、自動運転技術の進化にも注力しており、フルセルフドライビング(FSD)の規制緩和が進めば、同社の技術的優位性がさらに際立つ可能性がある。

AIとの融合も、テスラの競争力を強化する要素の一つである。2025年には、カリフォルニア州とテキサス州で自動運転ライドシェアサービスを展開する計画があり、これが成功すれば利益率の向上が見込まれる。ウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏も「テスラは最も過小評価されているAI銘柄だ」と指摘しており、同社の成長ポテンシャルを高く評価している。

しかし、テスラの株価はすでに高水準にあり、利益率向上が確実に実現するかどうかは未知数である。また、トランプ政権が化石燃料推進の政策を取る場合、EV普及のスピードが鈍化するリスクもある。競争が激化するEV市場の中で、テスラがどのように優位性を保ち続けるかが、今後の焦点となるだろう。

米金融市場の展望 JPモルガン・チェースは安定成長を維持できるか

JPモルガン・チェース(JPM)は、米国最大の銀行として、経済成長の恩恵を享受する立場にある。特に、トランプ政権が金融規制の緩和や低金利政策を推進する場合、同社の収益環境はより安定し、成長が加速する可能性がある。

JPモルガンは、2024年の4四半期すべてで市場予想を上回る業績を記録し、特に資産運用部門と投資銀行業務が好調だった。自己資本は3458億ドル(約52兆円)に達し、金融業界の中でも圧倒的な安定性を誇る。同社のジェイミー・ダイモンCEOは長年にわたり経営手腕を発揮してきたが、今後の後継者問題も市場の関心を集めている。

一方で、トランプ政権が進める金融政策がJPモルガンにとって一方的にプラスとなるとは限らない。例えば、低金利政策が続けば、銀行の利ざやが縮小し、利益率の低下につながる可能性もある。また、株式市場の変動が大きくなれば、投資銀行部門の収益が影響を受けることも考えられる。

金融業界は規制と市場環境の変化に大きく左右されるため、JPモルガンが今後も安定成長を続けるには、金利政策の変化や世界経済の動向を注視しながら、適切なリスク管理を行うことが求められるだろう。

Source:247wallst