データ分析企業Palantir Technologies(NASDAQ: PLTR)の株価は、2024年第4四半期の好調な決算を受けて急騰し、100ドルを突破した。過去1年間で366%上昇し、市場のボラティリティをものともせず成長を続けている。この急激な上昇に乗り遅れた投資家にとって、次なる成長銘柄の選定が課題となっている。

その中で注目すべきは、クラウドデータウェアハウスを提供するSnowflake(NYSE: SNOW)だ。SNOWの株価は直近で189.11ドルとなっており、過去1年間で12%下落しているものの、AI分野への積極的な投資を進めており、今後の成長ポテンシャルが期待される。

AI主導のデータ分析基盤を強化し、企業のデータ管理を支援するSnowflakeは、3,500億ドル規模の市場をターゲットにしている。特に、同社の顧客のうちAIツールを活用しているのは30%にとどまり、今後の成長余地は大きい。SNOWが今後、PLTRのような急騰を遂げるのか、技術的・市場的観点から分析する。

Snowflakeの競争優位性を支えるデータクラウド戦略

Snowflakeは、単なるクラウドデータウェアハウスにとどまらず、データクラウドプラットフォームとしての地位を確立しようとしている。企業のデータ活用が急速に進む中で、複数のクラウド環境を横断してデータ管理を最適化することが求められており、Snowflakeはこの需要を満たす強みを持つ。

同社のデータクラウドは、企業間のデータ共有を可能にし、データ統合のハードルを下げることでビジネスインテリジェンスの向上を支援する。現在、Snowflakeの顧客の34%がこのデータ共有機能を活用しており、データ駆動型の意思決定を加速させている。加えて、Snowflake Marketplaceを通じてデータ製品の提供を拡大し、企業が自社データの価値をより柔軟に引き出せる環境を構築している。

また、Snowflakeは既存のクラウドインフラプロバイダー(AWS、Azure、Google Cloud)との緊密な連携により、幅広い企業が既存のシステムを大きく変更することなく導入できる点も強みとなる。競合のデータプラットフォームと比較して、プラットフォームの中立性を維持しながら、データの移動や統合を最適化できる点は、企業にとって大きな魅力となる。

このような戦略のもと、Snowflakeは企業のデータ管理・分析基盤を根底から支える存在へと進化している。今後、AIや機械学習とデータ統合のニーズがさらに高まる中で、同社のデータクラウド戦略がどのように競争優位性を生かしていくのかが注目される。

SnowflakeのAI技術とNvidiaとの戦略的関係

AI分野の成長が加速する中、Snowflakeはデータクラウド領域においてAIインフラの強化を進めている。その一環として、半導体大手のNvidia(NASDAQ: NVDA)と提携し、AIワークロード向けのデータ処理能力を向上させている。この協業により、Snowflakeのプラットフォーム上でAIアプリケーションの開発・運用がより容易になると期待されている。

具体的には、SnowflakeはNvidiaの高性能GPUを活用し、AI推論の効率化を図っている。これにより、データサイエンティストや企業がAIモデルをクラウド上でより迅速にトレーニング・展開できるようになり、データ分析のパフォーマンスが向上する。特に、大規模なデータセットを扱う企業にとって、従来のCPUベースの処理よりも高速でコスト効率の良いAI処理が可能となる。

また、SnowflakeはAIアプリケーション開発向けに「Snowpark Container Services」を提供しており、開発者がSnowflakeのプラットフォーム上でカスタムAIモデルを運用できる環境を整備している。これにより、企業はデータをクラウドから取り出さずにAI分析を実行でき、データセキュリティやコンプライアンスを維持しながら効率的なAI活用が可能となる。

Nvidiaとの提携は、SnowflakeのAI分野における競争力を高める要素の一つとなっている。今後、データとAIの統合が進む中で、企業がリアルタイムでインテリジェントな意思決定を行うための基盤として、Snowflakeの役割はさらに重要性を増すと考えられる。

テクニカル分析から見るSNOWの株価推移と市場の評価

Snowflakeの株価は、過去1年間で12%下落しているものの、テクニカル分析では強気の兆候が見られる。特に、2024年に入ってからの株価推移に注目すると、「カップ・アンド・ハンドル」パターンの形成が確認されている。このチャートパターンは、強気相場の継続を示唆するものであり、今後の上昇余地を示している。

カップ・アンド・ハンドルパターンでは、2023年12月から2024年1月末にかけて丸底が形成され、短期的な調整局面を経て再び上昇に転じることが期待される。実際、直近の取引では180ドルのレジスタンスラインを突破しており、買い圧力の増加が見られる。さらに、出来高分析によると、180ドルを超える水準での取引が活発化しており、投資家の関心が高まっていることがうかがえる。

市場の評価を見ても、Snowflakeに対する強気な見方が増えている。ウォール街アナリスト32名のコンセンサスによると、SNOW株は「強い買い(Strong Buy)」と評価されており、今後12か月の平均目標株価は198.66ドルとされている。最も強気な予測では225ドル、最も慎重な予測でも180ドルとなっており、現在の水準から一定の上昇が見込まれている。

ただし、短期的な市場のボラティリティには注意が必要だ。特に、AI関連銘柄は市場全体のセンチメントに影響を受けやすく、他のテクノロジー企業の業績やマクロ経済要因によって変動する可能性がある。したがって、Snowflakeの長期的な成長戦略と市場のトレンドを慎重に見極めながら、投資判断を行うことが求められる。

Source:Finbold