米国株式市場の上昇をけん引してきた「マグニフィセント7(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta、Tesla)」だが、投資家の視線はそれ以外の有望な銘柄にも向けられている。

市場調査会社Yardeni Researchによれば、「マグ7」以外の企業群、いわゆる「S&P 493」がAIや自動化技術を活用し、利益率を向上させていることが注目されている。「S&P 493」の予想P/Eレシオは20倍と割安な水準にあり、成長余地があると指摘される。また、中型株(S&P 400)も2024年以降の利益成長が期待されるカテゴリーとして関心を集めている。

加えて、金融、産業、一般消費財などの景気循環セクターのバリュー株も堅調な業績を示しているが、割安感だけで判断すると「バリュートラップ」のリスクもあるため、選定には慎重さが求められる。

S&P 493の成長ポテンシャルとリスク要因

「マグニフィセント7」に匹敵する規模ではないものの、「S&P 493」と呼ばれるその他の企業群も市場での存在感を高めつつある。特に、AIや自動化技術を積極的に活用する企業は、コスト削減と生産性向上の両立に成功しており、利益率の改善が進んでいる。

「S&P 493」の予想P/Eレシオは現在20倍と、「マグ7」の29.4倍と比較して割安な水準にある。過去のデータからも、P/Eレシオの低い企業群が経済回復局面で市場の平均を上回る成長を遂げるケースは多い。特に、金融、産業、ITセクターの一部では企業業績が市場予想を上回る例が増えており、こうした流れが続けば「S&P 493」に対する評価はさらに向上する可能性がある。

しかし、これらの企業が「マグ7」のような一貫した成長を維持できるかは未知数である。AIや自動化の恩恵を受ける企業がある一方で、競争激化や景気変動の影響を受けやすい企業も多い。特に金利の影響を受けやすい業界では、資金調達コストの増加が利益を圧迫するリスクがある。成長期待とリスクのバランスを見極めることが重要となる。

中型株の成長シナリオと市場環境の影響

「S&P 400」に含まれる中型株は、市場の成長局面で大きな利益を生み出す可能性があると指摘されている。アナリストによれば、中型株の利益成長率は2024年に13.7%、2026年には16.5%に達すると予測されており、これは直近の減少傾向からの反転を意味する。

市場環境も中型株に追い風となる要素が増えている。金利上昇が鈍化すれば、財務負担の大きい企業のキャッシュフローが改善しやすくなり、特に成長企業にとっては資金調達のハードルが下がる。また、景気回復が進めば、消費関連や工業セクターの中型株の売上成長が加速する可能性もある。

しかし、中型株は大型株と比べて流動性が低く、市場のボラティリティが高まった際には価格変動が激しくなる傾向がある。特に景気後退の懸念が再燃すれば、中型株は売り圧力を受けやすくなるため、短期的なリスク管理が求められる。企業ごとの業績や市場の変化を注視しながら、成長性と安定性を兼ね備えた銘柄を慎重に選ぶことが鍵となる。

海外市場の割安感と米国株優先の理由

米国外の株式市場も割安な水準にあり、グローバル投資の視点から注目を集めている。特に、新興国市場では予想P/Eレシオが14倍未満と米国市場に比べて低く、長期的な成長を狙う投資家にとって魅力的な価格帯にある。

しかし、Yardeni Researchは「Stay Home」戦略を提唱し、米国株への投資継続を推奨している。その背景には、米国企業の競争力の高さや利益成長の持続性がある。特に、AIやクラウドコンピューティング分野では米国企業が世界市場をリードしており、技術革新の中心であることが評価されている。

一方で、米国市場も完全に安泰とは言えない。FRBの金融政策や経済指標の変動によっては、市場の方向性が不透明になる場面もある。海外市場が割安に見えても、各国の政治リスクや規制環境を考慮する必要があり、単純な割安感だけで投資判断を行うのは危険だ。結局のところ、米国市場の強さを考慮すれば、成長性と安定性のバランスを取りながら国内市場を中心にポートフォリオを構築するのが現時点では有力な戦略といえる。

Source:Investing.com