Meta Platforms(NASDAQ: META)は、2025年第1四半期の四半期配当を前回から5%引き上げ、1株あたり0.525ドルとすることを発表した。この配当は3月26日に支払われ、3月14日までに株主名簿に登録された投資家が対象となる。
これにより、年間配当は2.10ドルとなり、現在の株価に基づく配当利回りは約0.29%となる。この増配は、2024年第4四半期の好調な業績を受けたものであり、同四半期の売上高は市場予想を上回る483億9000万ドル、1株当たり利益(EPS)は8.02ドルを記録した。
さらに、Metaは2025年を「決定的な年」と位置づけ、人工知能(AI)とソーシャルメディア事業への投資を強化するため、600億~650億ドルの設備投資を計画している。ウォール街のアナリストもMetaの株価に対して強気の姿勢を示しており、Raymond Jamesのジョシュ・ベック氏は目標株価を800ドルに引き上げ、「強い買い」を推奨している。
Metaのキャッシュフローの強さと増配の持続性

Metaが増配を決定した背景には、強固なキャッシュフローがある。2024年第4四半期の決算では、売上高483億9000万ドル、純利益146億ドルを記録し、いずれも市場予想を上回った。この業績を支えたのが、広告収益の成長とコスト削減の取り組みである。
Metaは2023年以降、事業の効率化を進め、従業員削減やインフラ投資の見直しを実施した。その結果、営業利益率が改善し、フリーキャッシュフロー(FCF)も大幅に増加。2024年第4四半期のFCFは147億ドルに達し、前年同期の54億ドルから大幅に拡大した。この健全な財務基盤が、増配の決定を後押しした要因の一つである。
しかし、配当の持続性には慎重な視点も必要だ。現在の配当利回りは約0.29%と低く、株主還元の規模はまだ限定的である。さらに、MetaはAIやメタバースへの大規模な投資を続けており、将来的なキャッシュフローの用途が株主還元よりも成長戦略に向かう可能性もある。今後の増配が続くかどうかは、広告収益の成長とAI事業の収益化がどれだけ進むかにかかっている。
AI事業の拡大と収益モデルの変化
Metaは2025年に向けて、AI事業の強化を最優先課題とし、大規模な設備投資を計画している。同社は年間600億〜650億ドルの設備投資を発表しており、その多くがデータセンターや半導体インフラの強化に充てられる。2025年末までに130万台以上のGPUを導入し、AIの学習・推論能力を飛躍的に向上させる計画だ。
MetaのAI戦略は、広告ビジネスへの活用にとどまらず、独自の生成AIやAIアシスタントの展開にも及ぶ。LlamaシリーズをはじめとするオープンソースAIの開発を進めており、これにより企業向けのAIサービス市場への参入が期待されている。また、DeepSeekのR1 AIモデルとの統合により、AIの学習効率を向上させ、より高度なサービスを提供する可能性もある。
AI事業の収益化には時間を要するが、長期的には広告以外の収益源を確立することが課題となる。クラウドAIやサブスクリプション型のサービス提供が検討されており、MicrosoftやGoogleと同様のビジネスモデルへの移行が進む可能性がある。今後の決算で、AI事業の成長がどのように業績に反映されるかが、市場の注目点となるだろう。
ウォール街の評価と今後の株価動向
Metaの増配やAI投資に対して、ウォール街のアナリストは総じて強気の見方を示している。Raymond Jamesのジョシュ・ベック氏は、Metaの目標株価を725ドルから800ドルに引き上げ、「強い買い(Strong Buy)」を推奨。AI分野の成長ポテンシャルが、同社の収益拡大に寄与すると評価した。
一方で、短期的な売上予測には慎重な見方もある。Metaが発表した2025年第1四半期の売上予想は395億〜418億ドルで、市場予想の中央値(417.3億ドル)をわずかに下回った。これは、広告市場の成長鈍化や経済環境の影響を反映している可能性があり、株価の上昇ペースを抑制する要因となるかもしれない。
今後の株価動向は、AI事業の進捗と広告収益の成長バランスに左右される。特に、AIの商業化が進み、新たな収益源として確立されれば、Metaの評価はさらに高まる可能性がある。一方で、AI投資が利益成長に結びつかない場合、市場の期待とのギャップが株価に影響を与えるリスクもある。Metaの成長戦略が、今後の市場評価を決定づける重要な要素となるだろう。
Source:Finbold