短距離移動の需要が拡大する中、米国のBlade Air Mobility(NASDAQ: BLDE)が投資家の注目を集めている。都市型航空移動を提供する同社は、旅客輸送と臓器輸送を主軸に事業を展開し、EV技術導入によるコスト削減や新市場進出で成長が期待される。
株価は短期的な変動があるものの、長期的な売上拡大が見込まれており、ウォール街のアナリストも強気な見解を示している。特に、キャシー・ウッドの投資や大手金融機関の好評価がポジティブな要因となる一方、収益性の課題や経営陣の株式売却には慎重な判断が求められる。
Bladeは都市型モビリティ市場において競争優位性を持ちつつある。今後、EV導入の進展や国際市場への拡大が成功すれば、同社の評価はさらに高まる可能性がある。
都市型航空モビリティの成長を支える市場環境

都市部における短距離移動の需要は年々高まりつつある。特に、人口密集地域での交通渋滞の深刻化や、効率的な移動手段へのニーズの拡大が背景にある。Blade Air Mobilityは、ヘリコプターや水上飛行機を活用した短距離航空輸送を提供し、都市型移動の課題解決を目指している。
同社のサービスは、100マイル(約160km)以内の都市間移動をターゲットとしており、従来の陸上輸送よりも時間短縮を可能にする点が強みである。例えば、ニューヨークでは、マンハッタンからJFK空港への移動時間を通常の1時間以上からわずか5分に短縮できる。また、Bladeのサービスはカナダやヨーロッパにも展開され、需要が拡大している。
さらに、ビジネス需要だけでなく、観光や緊急輸送など多様な用途にも対応できる点が、同社の事業の強みとなる。特に、富裕層向けの高級移動手段としての需要が高まりつつあり、航空機の電動化が進めばコスト削減と環境負荷の低減も期待できる。市場環境の変化とともに、都市型航空モビリティの普及が加速する可能性がある。
財務状況と収益性の課題—売上成長と収益構造の変化
Blade Air Mobilityの売上成長は順調に推移しているものの、収益性には課題が残る。2024年第3四半期の売上高は7,490万ドルとなり、前四半期比で4.8%増加した。しかし、純損失は195万ドルとなり、前年同期の26.7万ドルの黒字から赤字へ転落した。
売上の成長が続く一方で、利益率の改善が求められる状況だ。特に、事業拡大に伴う設備投資や運航コストの増加が影響しているとみられる。Bladeは現在、電動垂直離着陸機(EVA)の導入を進めており、これにより運航コストの削減と収益構造の改善が期待される。
一方で、アナリストの評価は比較的ポジティブである。Bladeの年間売上成長率は7.9%と予測され、業界平均の7.6%を上回る見通しとなっている。また、EPSはアナリスト予想を38%上回る結果となり、収益改善の兆しも見られる。今後の市場拡大や新技術の導入によって、財務状況がどのように変化するかが注目される。
市場拡大戦略—EV導入と新規市場進出のインパクト
Blade Air Mobilityは、収益性の向上と事業拡大のために新たな戦略を推進している。その柱の一つが、電動垂直離着陸機(EVA)の導入である。従来のヘリコプターと比較して、EVAは運航コストを削減できるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献する。この技術革新により、より広範な顧客層にアプローチできる可能性がある。
また、Bladeは地理的な市場拡大にも力を入れている。現在、売上の84%が米国市場からのものであり、今後の成長には海外展開が不可欠となる。すでにカタール航空との提携によりモナコ市場に進出し、新たな需要を開拓している。今後はアジアや中東など、都市型航空輸送の潜在需要が高い市場への拡大も視野に入れている。
一方で、同社の臓器輸送事業も成長ドライバーとなり得る。Bladeは米国最大規模の臓器輸送サービスを提供しており、医療分野での需要は安定している。市場の拡大とEV技術の導入が、同社の将来の成長にどのように寄与するかが重要なポイントとなる。
Source:Finbold