ウォルト・ディズニー・カンパニー(NYSE: DIS)が間もなく2025年度第1四半期の決算を発表する。アナリストは収益と利益の増加を予想し、特にストリーミング事業とテーマパーク事業の動向に注目が集まっている。
市場の評価は概ね強気で、Visible Alphaのデータによれば、アナリストの評価は「買い」が7件、「ホールド」が4件に分かれている。目標株価の平均は127.27ドルで、現在の株価を約13%上回る水準だ。
ストリーミング部門では、Disney+、Hulu、ESPN+が黒字転換を果たし、さらなる成長が期待されている。一方、テーマパーク事業はハリケーンの影響やクルーズ船関連コストが利益を圧迫する可能性も指摘されており、決算発表後の市場の反応が注目される。
ディズニーのストリーミング事業 黒字化と競争環境の変化
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ディズニーのストリーミング事業は、Disney+、Hulu、ESPN+を擁し、直近の四半期で黒字化を達成した。特にDisney+は会員数の増加に加え、広告付きプランの成長が収益を押し上げた要因とされる。アナリストは、これが同社の長期的な利益成長に寄与すると見ており、CitiやUBSもこの傾向が続くと予測している。
一方で、業界全体の競争環境は厳しさを増している。NetflixやAmazon Prime Videoといった競合他社は、コンテンツの拡充だけでなく、広告モデルの導入やライブ配信など新たな収益源を模索している。ディズニーもこの流れに沿う形で、広告付きプランの拡充や価格改定を実施しており、収益性の向上が期待される。
また、1月にはワーナー・ブラザース・ディスカバリーやFOXと共同で新たなスポーツストリーミングサービス「Venu Sports」を立ち上げる計画があったが、最終的に中止が発表された。この背景には、ディズニーがFuboTVとの訴訟を和解し、「Hulu + Live TV」との統合を進めたことが影響している。ストリーミング事業の成長が続く一方で、戦略の変化が市場にどのような影響を与えるのか、今後の動向に注目が集まる。
テーマパーク事業の成長と課題 ハリケーン被害とクルーズ戦略
ディズニーのテーマパーク事業は安定した収益を生み出す一方で、外的要因による影響を受けやすい。今回の決算では、南部地域を襲ったハリケーンの影響で来園者数が一時的に減少し、収益にどの程度の影響を及ぼしたかが焦点となる。アナリストは、災害による一時的な落ち込みがあったとしても、長期的には回復すると見ており、業界全体の需要が依然として高いことが支えになっている。
また、新たなクルーズ船の投入により、ディズニー・クルーズ・ラインの拡大が進んでいる。クルーズ旅行の需要はコロナ禍以降急速に回復し、ディズニーもその流れを取り込もうとしている。新船導入には高額なコストがかかるものの、ブランド力の高さやファミリー向けの独自性が強みとなり、長期的には利益成長につながる可能性がある。
ただし、競争環境は依然として厳しく、ユニバーサルやシーワールドといった競合企業も新たなアトラクションや施設投資を加速させている。ディズニーはフロリダやカリフォルニアの施設を中心に投資を続けているが、新たなアトラクションや体験の提供が今後の成長を左右する要因となる。テーマパーク事業の成長を維持するためには、顧客体験の向上と新規投資のバランスが求められる。
ディズニー株の今後の展望 決算発表後の市場反応に注目
ディズニー株は過去12カ月で約17%上昇し、アナリストの目標株価平均は127.27ドルと、現在の水準を上回る設定となっている。決算発表後の市場の反応次第では、さらなる株価上昇の可能性もあるが、ストリーミング事業やテーマパーク事業の業績が市場の期待にどれほど応えられるかが鍵となる。
特に、ストリーミング事業の黒字化はポジティブな要素として評価されているが、広告収入の成長やサブスクリプション価格の引き上げがどの程度継続できるかは未知数だ。また、競合他社とのコンテンツ競争が激化する中で、ディズニーがどのような戦略を取るかも市場の注目点となる。
一方、テーマパーク事業は長期的には安定成長が見込まれるものの、短期的な外的要因による影響を受けやすい。ハリケーンによる入場者数の減少やクルーズ事業の投資負担が決算にどのように反映されるかが重要となる。決算発表後のアナリストの評価と市場の反応が、今後の株価動向を左右するポイントとなるだろう。
Source:Investopedia