2025年のNvidiaは、AI市場での優位性を保ちながらも、競争と規制の影響を受け、株価が乱高下する展開となっている。昨年11月の決算発表後、株価は勢いを失い、1月には中国のAIスタートアップの台頭も影響して一時10%以上下落した。
しかし、その後回復傾向を示し、2月20日時点では139.22ドルまで戻している。こうした中、アナリストはNvidia株に対して強気な姿勢を崩さず、KeyBancのジョン・ヴィン氏は目標株価を190ドルに引き上げた。ウォール街では、次回の決算発表を控え、さらなる上昇の可能性が議論されている。
テクニカル分析でも、過去のチャートパターンから190ドル到達の可能性が示唆されており、投資家の注目が集まっている。
NvidiaのAI支配は続くのか 競争環境と規制の影響

NvidiaはAI市場で圧倒的な地位を誇るが、競争環境の変化が同社の成長に影響を与えている。1月下旬には、中国のAIスタートアップであるDeepSeekが低コストで高性能なモデルを開発したと報じられた。Nvidiaの最新チップは米国の輸出規制により中国市場での販売が制限されているが、それでも競争力のあるAIモデルが生まれたことは、市場に衝撃を与えた。
この動きにより、Nvidiaの株価は1月27日に10.14%下落し、128ドルまで落ち込んだ。AI市場の拡大は同社にとって追い風であるものの、新興企業や規制の影響が逆風となる可能性もある。特に中国市場はNvidiaの成長戦略において重要であり、制限が続く限り、他の市場での需要が同社の成長を支える必要がある。
しかし、2月20日時点では株価が139.22ドルまで回復しており、依然として市場の期待は高い。アナリストの間では、ハイパースケーラー企業の設備投資が増加する中で、Nvidiaの強固な市場シェアは維持されるとの見方が強い。ただし、技術革新のスピードが速いAI業界においては、競争優位を確保するための継続的な投資が求められる。
アナリストの強気予測 190ドル到達は現実的か
アナリストの予測では、Nvidiaの株価は190ドルに達する可能性があるとされている。KeyBancのジョン・ヴィン氏は、Nvidiaの成長基盤が強固であることを理由に、目標株価を180ドルから190ドルに引き上げた。また、オッペンハイマーのリック・シェーファー氏も「アウトパフォーム」評価を維持し、株価目標を175ドルとした。
この予測を裏付ける要因の一つが、AIインフラへの投資拡大である。Amazon、Microsoft、Google、Metaといったハイパースケーラー企業は、AI関連の設備投資を前年比40%増の3,000億ドルに引き上げるとされている。これにより、Nvidiaのデータセンター向けGPUの需要は依然として高水準を維持すると考えられる。
ただし、短期的なリスクも無視できない。1月の急落のように、市場のセンチメントや競争環境の変化により、株価の変動が大きくなる可能性がある。今後の決算内容が市場の期待を上回るかどうかが、190ドルの達成に向けた重要なポイントとなるだろう。
テクニカル分析が示す上昇のシナリオ
テクニカル分析の観点からも、Nvidiaの株価が190ドルに達する可能性が示唆されている。TradingShotの分析によると、過去2年間において、Nvidiaの株価は特定のチャートパターンに従って推移してきた。過去のケースでは、現在のような調整局面の後、下降トレンドラインを突破すると大幅な上昇が発生している。
例えば、2022年のインフレ危機後の回復局面では、Nvidiaの株価は想定を上回る上昇を見せた。また、直近のケースでは、68.69%の上昇が観測されている。このパターンが今回も繰り返されるとすれば、トレンドラインを突破した時点で急騰し、目標株価の190ドルに到達する可能性がある。
ただし、テクニカル分析はあくまで過去のデータを基にした予測であり、実際の市場環境やファンダメンタルズの変化が株価に影響を及ぼす点には留意が必要だ。特にAI市場の競争や規制、経済全体の動向が、今後の株価の動きを左右する要因となるだろう。
Source:Finbold