パランティア(NASDAQ: PLTR)の株価が2月19日に12%の急落を記録した。要因は、CEOアレックス・カープ氏が今後6か月間で1,000万株の売却を可能とする株式取引計画を採用したことに加え、米国国防総省の予算削減計画が報じられたためだ。
それでも、同社の年初来株価は50%上昇しており、特にAI関連事業の成長が評価されている。一方で、株価が予想利益の202倍、売上高の69倍と割高であることが懸念されている。
アナリストの間でも評価は分かれており、Loop Capitalのロブ・サンダーソン氏は「買い」推奨とし、目標株価を141ドルに設定した。同氏はAI分野での市場機会を強調し、バリュエーションを気にせずに買い増すべきと提言している。
CEOの株売却計画が市場に与えた影響

パランティアのCEOであるアレックス・カープ氏が、新たな株式取引計画を採用したことで、市場は大きく反応した。同氏が今後6か月間で約1,000万株を売却する可能性があることが報じられると、投資家の間に警戒感が広がり、2月19日の取引で株価は12%急落した。
カープ氏はこれまでも自社株を売却することがあったが、今回の計画は特に注目された。同社はここ数年、成長を遂げており、2024年第4四半期の決算でも売上高8億2,800万ドルを記録するなど好調を維持している。しかし、CEO自らが大規模な売却を予定していることで、企業の将来性に対する市場の信頼が揺らいだと考えられる。
一方で、カープ氏の売却が必ずしもネガティブなシグナルとは限らない。経営者による株売却は、資産分散や個人的な財務戦略の一環として行われることが多く、企業の業績とは直接関係がない場合もある。ただし、売却のタイミングが国防予算削減の報道と重なったことが、リスク回避の動きを強めた可能性は否定できない。
国防予算削減がパランティアの事業戦略に与える影響
パランティアの株価が急落したもう一つの要因として、米国国防総省の予算削減計画が挙げられる。報道によれば、今後5年間で年間8%の予算削減が求められている。これにより、政府契約への依存度が高いパランティアの収益構造に変化が生じる可能性がある。
同社の主要顧客は政府機関であり、国防総省向けのデータ分析やAIソリューションを提供するビジネスが中核をなしている。仮に予算削減が本格化すれば、新規契約の獲得が難しくなり、既存の契約も見直される可能性があるため、収益の伸びが鈍化するリスクがある。
ただし、パランティアは近年、商業分野への進出を加速させている。2024年には214社の新規顧客を獲得し、前年の130社から大幅な増加を見せた。特にAIを活用したデータ分析プラットフォームは、民間企業からの需要も高まっており、政府依存度を下げる戦略が奏功するかが今後の焦点となる。
高バリュエーションの懸念とアナリストの強気姿勢
パランティアの株価は、予想利益の202倍、予想売上高の69倍と非常に高い評価を受けている。これは、AI関連企業への市場の期待を反映したものだが、同時にリスク要因ともなっている。特に、成長が鈍化すれば、現在のバリュエーションを正当化するのは難しくなる。
こうした懸念がある一方で、Loop Capitalのアナリスト、ロブ・サンダーソン氏はパランティアに対して強気の見解を示し、「買い」推奨を出した。同氏は株価目標を141ドルとし、AIと生成AI(GenAI)分野での優位性が今後の成長を支えると指摘している。
また、パランティアのプラットフォームがデータ分析の分野でAdobeやSalesforceと並ぶ影響力を持つ可能性にも言及している。政府契約のリスクはあるものの、企業向けのソリューションが順調に拡大すれば、高い評価額も正当化されるかもしれない。ただし、短期的にはボラティリティが続く可能性があり、市場の動向を注視する必要がある。
Source:Finbold