アリババ(NYSE: BABA)の株価が2025年に入り急騰している。特にAI分野への積極的な投資とAppleとの提携が注目され、投資家の関心を集めている。

1月には中国のAIモデル「DeepSeek」の発表を受け、アリババも独自のAI「Qwen 2.5」をリリース。その後、Appleとの協業を発表し、中国市場向けのiPhoneにAI機能を搭載すると報じられた。また、DeepSeekへの投資も検討されている。

2月の決算発表では売上高と利益が市場予想を上回り、AIとクラウド事業への巨額投資計画が示された。3月には新たなAIモデル「QwQ-32B」を発表し、競争力を強化。モルガン・スタンレーはBABAの目標株価を180ドルに設定し、市場の期待も高まっている。

AI事業の強化が市場の信頼を獲得 アリババの成長戦略

アリババはAIとクラウド事業に対する投資を加速させている。2024年第3四半期の決算発表で、売上高と利益が市場予想を上回ったことに加え、今後3年間でAIとクラウドコンピューティングへの投資を過去10年間の累計額以上に拡大すると表明した。これにより、企業の成長戦略が明確になり、投資家の信頼を得る材料となった。

さらに、3月には新たなAIモデル「QwQ-32B」を発表。このモデルは、既存の強力なAI「DeepSeek R-1」と同等以上の性能を持つとされ、アリババの技術力の向上を示している。中国のAI業界は、DeepSeekの登場以降、競争が激化しており、アリババも市場での存在感を強めている。

AI分野における競争力は、単なる技術開発だけではなく、クラウドサービスの成長にも直結する。アリババはAIとクラウドの統合を進め、ビジネス全体の強化を図っている。これにより、アリババは国内市場での地位を固めるだけでなく、国際市場への影響力も高めていく可能性がある。

Appleとの提携がもたらす戦略的意義

アリババはAppleとの提携を発表し、中国市場向けのiPhoneにAI機能を搭載する計画を進めている。この動きは、Appleにとって中国市場での競争力を維持する重要な施策であり、アリババにとっても自社のAI技術を実用化する絶好の機会となる。

Appleは近年、中国市場においてHuaweiなどの国内企業と激しい競争を繰り広げている。アリババとの提携により、Appleは中国市場でのシェアを確保し、より魅力的な製品を提供できる可能性がある。一方、アリババにとっても、Appleのグローバルなブランド力を活用することで、自社のAI技術の認知度向上が期待される。

また、この提携は、アリババのクラウドサービスの活用にもつながる可能性がある。Apple製品がアリババのクラウドを利用することで、データ処理の最適化やユーザー体験の向上が見込まれる。これは、アリババにとって新たな収益源の確保につながる要素となるだろう。

BABA株は今後も上昇するのか 市場の期待とリスク

アリババの株価は2025年に入って急上昇し、3月には143.66ドルを記録。年初来(YTD)で68.44%のリターンを達成している。モルガン・スタンレーはBABAの目標株価を180ドルに設定しており、市場の期待も高まっている。

一方で、BABA株にはリスク要因も存在する。現在の株価は急騰しているものの、過去最高値(ATH)からは依然として約50%下落している。また、中国政府の規制リスクも無視できない。近年、ハイテク企業への締め付けが強化されており、今後の事業展開に影響を与える可能性がある。

それでも、AI事業の成長やAppleとの提携が進む中、アリババは中長期的にさらなる成長の余地を持つ。特にAIとクラウド分野への投資が実を結べば、企業価値の向上につながるだろう。市場は、これらの要因が今後どのように作用するかを注視している。

Source:Finbold