Nvidia(NASDAQ: NVDA)の第4四半期決算が2月26日に発表される。AI市場を牽引する同社だが、アナリストの間では今回の決算が株価下落の引き金になる可能性があると指摘する声も出ている。
2025年に入り、Nvidiaの株価は130ドルのサポートレベルを意識した展開が続いている。直近の終値は134.43ドルと前日比4%下落し、年初来でも約3%のマイナス。一方、2月24日のプレマーケットでは1.82%上昇し、136.88ドルを記録した。市場は今後の見通しに神経をとがらせており、決算発表が重要な分岐点となる。
Nvidiaのデータセンター事業とAI市場の成長鈍化がもたらす影響

Nvidiaの成長を牽引してきたデータセンター事業は、AI市場の急拡大とともに著しい成長を遂げてきた。しかし、2025年前半にかけては供給制約や顧客のASIC移行など、複数の課題に直面している。市場では、同社のデータセンター部門が2026会計年度に56.5%成長すると見込まれているが、短期的には供給不足が影響を及ぼす可能性が指摘されている。
特に問題視されているのは、TSMCのCoWoS生産能力の不足だ。この技術は高性能GPUの製造に不可欠であり、生産能力の制限がNvidiaの供給量を抑える要因となっている。加えて、Amazonなどのクラウドプロバイダーが独自のAI ASICを採用する動きが強まっており、GPU市場の競争環境は変化しつつある。これにより、NvidiaはAIアクセラレータ市場で4%〜5%のシェアを失う可能性があるとの見方もある。
しかし、AI市場の需要自体は依然として高く、特に次世代Blackwellアーキテクチャの登場が期待されている。すでに売り切れ状態とされるBlackwellチップは、2025年後半にかけて供給が拡大する予定であり、中長期的には成長のドライバーとなると見られている。一方で、AI市場全体の支出削減の兆候もあり、DeepSeek AIの動向などがそのリスクを示唆している。今後の成長が供給体制と市場環境に左右される状況が続きそうだ。
AI半導体競争の激化とNvidiaの優位性は揺らぐのか
AI向け半導体市場はNvidiaが圧倒的なシェアを持つが、競争環境は変化しつつある。特にクラウド企業やテック企業が独自のASIC開発を進める中、NvidiaのGPU需要が一部の顧客層で縮小する可能性が指摘されている。AmazonやGoogleはすでに自社製AIチップの開発を加速させており、ASIC市場の拡大はNvidiaにとって潜在的な脅威となる。
一方で、NvidiaはGPU市場における技術的優位性を維持し続けている。AIアクセラレーションの分野では、汎用性の高いCUDAプラットフォームが強みとなっており、既存のAIモデルの多くがNvidiaのハードウェアとソフトウェアに最適化されている。このため、短期的に競争が激化しても、市場全体のシェアを急激に失うことは考えにくい。
ただし、供給網の制約や生産能力の問題が続く場合、Nvidiaの市場支配力は徐々に弱まる可能性がある。特に、2025年前半の業績ガイダンス次第では、同社の成長ペースに対する市場の期待が変化する可能性がある。アナリストの間でも意見が分かれており、今回の決算が今後の競争環境において重要な分岐点となることは間違いない。
決算発表後の市場動向とNvidia株の行方
Nvidiaの決算発表が市場に与える影響は大きく、特に業績ガイダンスが注目される。市場では、同社の業績が予想を上回るか、または慎重なガイダンスが示されるかによって、株価の方向性が決まると見られている。150ドルの水準が重要なレジスタンスラインとなっており、これを超える展開となれば、強気相場が継続する可能性がある。一方で、供給問題や競争激化が懸念される場合、130ドルのサポートを試す動きも考えられる。
Rosenblatt Securitiesは目標株価を220ドルに設定し、強気姿勢を維持している。一方、Northlandは短期的な成長鈍化を警戒し、慎重な見方を示している。市場戦略家のロイ・マトックス氏も「今回の決算はリスクイベントとして重要」と指摘し、慎重な投資判断を推奨している。
Nvidiaの決算は、AI市場全体の成長見通しを占う指標にもなる。供給制約の克服が進めば、2025年後半以降の成長期待は高まるが、短期的には市場の反応を慎重に見極める必要があるだろう。
Source:Finbold