ビジネスインテリジェンス企業のMicroStrategy(現Strategy)は、ビットコイン(BTC)戦略を強調するために社名を変更し、ロゴにもBTCのシンボルを取り入れた。同社は過去4四半期連続で財務上の損失を報告しているにもかかわらず、218,887 BTCを205億ドルで購入し、現在の保有額は約304億ドルと評価されている。

この積極的なビットコイン投資戦略により、同社の株価は前年比で406%以上急騰し、時価総額は823億ドルに達した。しかし、金融専門家は、同社の時価総額とビットコインの純資産価値(NAV)の乖離を指摘し、その評価の合理性に疑問を投げかけている。

カーネギーメロン大学の金融学教授ブライアン・ラトリッジ氏は、「Strategyの時価総額とビットコイン保有額の評価ギャップは非合理的に見える」と述べ、投資家がビットコインの価格変動リスクを超えたさらなるリスクに直面していることを強調した。このような状況下で、同社のビットコイン戦略の持続可能性と評価の妥当性について、投資家は慎重な検討が求められる。

MicroStrategyのビットコイン戦略と急成長する時価総額の背景

MicroStrategy(現Strategy)は、これまでのビジネスインテリジェンス企業という立場から大きく転換し、積極的なビットコイン投資を進めることで市場から注目を集めている。同社は218,887 BTCを取得し、現在の保有額は約304億ドルに達しているが、その一方で財務状況は赤字を続けている。それにもかかわらず、同社の時価総額は823億ドルへと急騰し、株価は前年比で406%以上上昇した。この大幅な上昇の背景には、単なるビットコイン価格の上昇だけでなく、マイケル・セイラー氏の戦略的なブランディングと、市場の強気心理が大きく関与している。

さらに、MicroStrategyは従来のソフトウェア企業としての事業から、事実上「ビットコイン財務会社」としての役割を強調する戦略を取っている。特に「21/21計画」として知られる、今後3年間で420億ドル相当のビットコインを購入する方針が公表され、これが市場の期待をさらに押し上げた。しかし、この急成長は持続可能なのか、そして評価の合理性はあるのか、専門家の間では議論が分かれている。

株価と純資産価値の乖離が示す評価の歪み

MicroStrategyの株価は、この1年間で急騰を遂げ、企業の時価総額は823億ドルに達した。しかし、同社が保有するビットコインの評価額は約304億ドルにとどまる。この事実は、同社の時価総額と純資産価値(NAV)の間に大きな乖離が生じていることを意味する。通常、企業の価値は資産と収益力に基づいて決定されるが、MicroStrategyの場合、ビットコインの保有量をはるかに超えた評価を受けている。

この状況に対し、カーネギーメロン大学のブライアン・ラトリッジ教授は「この評価ギャップは合理的とは言いがたい」と指摘している。市場では、MicroStrategyのビットコイン投資に対する期待が株価を押し上げているものの、同社の実際の収益モデルがこの時価総額に見合うものかどうかについては疑問が呈されている。また、同社のソフトウェア事業が黒字転換できるかどうかも重要なポイントとなるが、直近の四半期では売上が前年同期比で3.1%減少しており、事業の成長性には不透明感が残る。

このような状況では、株価がビットコイン市場の動向に大きく依存することになる。仮にビットコインの価格が急落した場合、MicroStrategyの評価も急激に下落する可能性があり、市場の期待とのギャップがリスク要因として浮上する。したがって、MicroStrategyの株価上昇が持続的なものかどうかは、今後のビットコイン市場の動きに左右されることが予想される。

企業戦略としてのビットコイン投資は成功するのか

MicroStrategyの経営陣は、ビットコインの長期的な成長性を信じ、その保有を拡大し続けている。特に、マイケル・セイラー氏は「ビットコインが年間21%以上成長すれば、年間100億ドル以上の利益をもたらす可能性がある」と主張し、積極的な買い増しを進めている。この方針は、株式市場における同社のブランド価値を高め、投資家の注目を集める要因となっている。

しかし、この戦略にはリスクも伴う。ビットコイン市場は高いボラティリティを持ち、価格の変動が企業の財務状況に直接影響を及ぼす。また、MicroStrategyは財務上の損失を計上し続けており、今後もビットコイン価格が低迷すれば、その経営基盤が揺らぐ可能性がある。さらに、現在のビットコイン保有量は市場全体の約2%を占める規模に達しており、流動性リスクが高まることも懸念材料だ。

このように、MicroStrategyのビットコイン戦略は、今後の市場環境によって大きく成否が分かれる可能性がある。ビットコイン価格が上昇し続ければ、同社の評価もさらに高まるだろう。しかし、逆に市場が冷え込めば、MicroStrategyのビジネスモデルは大きな課題に直面する。こうしたリスクとリターンのバランスをどう見極めるかが、今後の焦点となる。

Source:Wall Street Pit