半導体関連企業Super Micro Computer(SMCI)の株価が急騰している。昨年、空売りアクティビストのHindenburg Researchによる会計不正の指摘を受け、株価は一時18ドルまで下落した。
しかし、2月25日に同社が延期していた財務報告書を提出し、新監査法人BDOの監査を受けたことで、NASDAQ上場維持が確定。これを受け、2月26日のプレマーケットで株価は24.73%上昇し、56.22ドルに達した。
2025年の業績見通しは下方修正されたものの、2026年の売上予想は400億ドル超と強気の姿勢を示している。また、テクニカル分析では上昇トレンドの継続を示す「ブルフラッグ」の形成が指摘され、今後65ドルまでの上昇が視野に入る。
さらに、Nvidiaの決算発表がSMCI株の動向を左右する要因となる可能性が高く、引き続き市場の注目を集める展開となりそうだ。
SMCI株急騰の背景 会計問題の影響と回復の過程

Super Micro Computer(SMCI)の株価は、2023年に空売りアクティビスト「Hindenburg Research」による会計不正疑惑の指摘を受け、大きく下落した。特に、監査法人Ernst & Young(EY)の辞任と財務報告書の提出延期が市場の不信感を招き、株価は一時18ドルまで急落した。この疑惑により、同社のNASDAQ上場が危ぶまれる状況に陥った。
その後、SMCIは新たな監査法人BDOを迎え、2025年第2四半期決算の発表を経て株価は回復基調に転じた。2月11日には50.93ドルまで上昇し、2月19日には60.25ドルと年初来高値を更新した。しかし、2月25日に株価は24.41%下落し、45.54ドルに急落。決算の内容は好調だったものの、延期されていた財務報告書が依然未提出であり、NASDAQ上場の不安が市場心理に影響を与えた。
最終的に、SMCIは2月25日の期限に間に合わせる形で報告書を提出し、NASDAQの提出要件をクリア。これにより上場廃止リスクが消滅したとされ、翌26日のプレマーケット取引で24.73%の急騰を記録。年初来リターンは84.45%に達した。企業の信用回復と市場の安心感が急速な株価回復を後押しした形だ。
2025年の業績見通しと市場の評価
SMCIの最新の四半期決算では、2025年の業績ガイダンスが下方修正された一方で、2026年の売上予測は400億ドル超と強気の見通しが示された。2025年の成長鈍化は一時的な調整と捉えられるが、中長期的にはAI市場の拡大が追い風となる可能性がある。特に、SMCIはAI向けデータセンター用のサーバー製造でNvidiaと強固な関係を築いており、半導体市場の成長と連動して業績拡大が期待される。
一方、NASDAQへの規制対応の遅れが市場の警戒を招いた点は依然として懸念材料だ。会計問題が完全に払拭されたとは言い難く、今後も企業統治や財務透明性の改善が求められる。また、短期間での急騰により利益確定売りの動きも予想され、株価のボラティリティが高まる可能性がある。
市場では、SMCIが本格的な安定成長に向かうかどうかを見極めるフェーズに入っている。AI関連企業としての成長期待は大きいが、財務管理の透明性を維持し続けることが株価の持続的な上昇には不可欠となるだろう。
Nvidia決算がSMCI株に与える影響
SMCIの株価動向において、Nvidiaの決算発表は極めて重要な指標となる。NvidiaはAI分野で圧倒的なシェアを誇り、その成長がAI関連企業全体の業績に直結する。特に、SMCIはNvidiaのAI向けサーバーの主要パートナーであり、Nvidiaの好決算が報じられればSMCIの成長期待も一段と高まる可能性がある。
2月26日に予定されているNvidiaの決算は、AI関連銘柄全体の評価を左右すると見られる。過去の傾向からも、Nvidiaが市場予想を上回る好業績を発表すれば、SMCI株も連動して上昇するケースが多い。一方で、期待外れの決算となれば、AI関連銘柄全体に売り圧力がかかる展開も考えられる。
また、テクニカル分析の観点からは、著名なアナリスト「TradingShot」がSMCIの株価が65ドルまで上昇する可能性を指摘しており、「ブルフラッグ」と呼ばれる上昇トレンドが形成されているという見解もある。Nvidiaの決算がこのトレンドを強化するかどうかが、今後の株価の行方を大きく左右することになりそうだ。
Source:Finbold