テスラ(NASDAQ: TSLA)の目標株価が、ウォール街で1週間に2度引き下げられた。バンク・オブ・アメリカは490ドルから380ドルへ、ゴールドマン・サックスは345ドルから320ドルへと修正。販売台数の伸び悩みやブランドイメージの低下が背景にあると指摘されている。

特に中国市場では、2月の出荷台数が前年同月比49%減と大幅に落ち込み、競争の激化が進んでいる。欧州市場でも販売減少が続き、フランスやスカンジナビア諸国での登録台数が急減した。

一方、モルガン・スタンレーはテスラを「トップピック」とし、430ドルの目標株価を維持。長期的な成長への期待は依然として根強いが、短期的な株価の動向は不透明な状況が続く。

テスラの目標株価引き下げが相次ぐ 背景にある要因とは

テスラ(NASDAQ: TSLA)の目標株価が、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とゴールドマン・サックスによって相次いで引き下げられた。BofAは490ドルから380ドルへ、ゴールドマン・サックスは345ドルから320ドルへと修正し、両社とも評価は「中立」を維持している。背景には、販売台数の減少、ブランドイメージの低下、そして市場全体の不確実性が挙げられる。

特に販売面では、テスラの主要市場である米国、中国、欧州で需要の伸び悩みが目立つ。HundredXの消費者調査データによれば、消費者の関心が低下していることが示唆されており、今後の成長に影響を与える可能性がある。さらに、テスラの収益源の一つである自動運転ソフトウェア「Full Self-Driving(FSD)」の市場展開にも課題があると指摘されている。

テスラのFSD技術は、バージョン13へのアップデートにより改善されたものの、中国市場ではすでに競合メーカーがハンズフリー運転支援システムを導入しており、追加ソフトウェアの購入が必要なFSDの販売拡大には壁がある。こうした要因が、ウォール街での目標株価引き下げにつながったと考えられる。

中国市場での販売不振が深刻化 テスラの競争環境は厳しさを増す

テスラは中国市場で厳しい状況に直面している。2月の出荷台数は前年同月比49%減の30,688台と、2022年8月以来の最低水準を記録した。2025年の最初の2カ月間でも、中国製テスラ車の販売台数は前年同期比28.7%減の93,926台と大幅に落ち込んでいる。

競争環境の激化もテスラにとって逆風となっている。中国のBYDは2月の販売台数を前年同月比164%増の322,846台と大きく伸ばし、国内市場での存在感を強めている。BYDは低価格帯から高級EV市場まで幅広いラインナップを展開しており、価格競争力の面でも優位に立っている。

テスラはこれまで、ブランド力と技術力を武器に中国市場でのシェアを維持してきたが、消費者の選択肢が広がる中、競争優位性が揺らいでいる。さらに、イーロン・マスクCEOの政治的発言が一部の消費者に敬遠される要因ともなっており、ブランドイメージの維持も課題となっている。中国市場の不振が長期化すれば、テスラの成長戦略に影響を与える可能性がある。

欧州でも販売台数が減少 テスラのグローバル戦略に影響か

テスラの販売不振は欧州市場にも及んでいる。フランスでは2月の販売台数が26%減少し、1月には欧州の主要EV市場全体で45%の落ち込みを記録した。スウェーデン、ノルウェー、デンマークのスカンジナビア地域では、登録台数が前年同期比42%〜48%減少しており、欧州での需要減退が顕著になっている。

欧州市場では、テスラにとって競争環境がさらに厳しくなっている。ドイツのフォルクスワーゲン、フランスのルノー、韓国のヒョンデなどがEV市場でのシェアを拡大しており、価格帯や車種のバリエーションでテスラを上回る選択肢を提供している。特に、小型EV市場においてはテスラのモデルラインナップが限定的であるため、消費者の選択肢が狭まっている。

また、欧州では環境規制の強化により、各メーカーが積極的にEV戦略を強化しており、価格競争が激化している。こうした状況がテスラの価格設定に影響を与え、利益率の低下につながる可能性もある。テスラのグローバル戦略はこれまで米中市場に大きく依存してきたが、欧州市場でのシェア低下は、今後の事業戦略に修正を迫る要因となるかもしれない。

Source:Finbold