米大手PC・サーバーメーカーのデル・テクノロジーズ(NYSE: DELL)の株価が、年初来で20%下落し92ドル台に到達。市場の変動を受け、Loop Capitalは同社の目標株価を従来の185ドルから130ドルに引き下げたが、「買い」評価は維持されている。

最新の四半期決算では、売上が前年比7%増を記録し、AIサーバーの出荷額は21億ドルに達した。AI関連製品の受注残も90億ドル規模と堅調な一方、PC市場の低迷が短期的な業績に影響を及ぼしている。

過去の市場動向を見ると、同社の株価はサポートレンジに達した後に反発するケースもあった。今後の焦点は、デルがAI需要をどこまで成長の原動力にできるかにある。

目標株価の引き下げと市場の反応

デル・テクノロジーズ(NYSE: DELL)の目標株価が、Loop Capitalにより185ドルから130ドルに引き下げられた。これは年初来の株価下落を反映したもので、現在の株価は92ドル台と、昨年8月のサポートレンジに戻っている。株価下落の要因としては、PC市場の低迷や全体的なマクロ経済の影響が指摘されている。

しかし、目標株価の引き下げにもかかわらず、Loop Capitalはデルの「買い」評価を維持している。同社の成長分野であるAI関連ビジネスの好調さが背景にあるとみられる。デルのAIサーバーの出荷額は21億ドルに達し、AI関連の受注残は90億ドル規模に拡大。これらの要素が、長期的な成長の期待につながっている。

市場の反応を見ると、目標株価の引き下げが発表された後も株価は安定しており、過去にも同様の水準から反発したケースがあることを踏まえ、短期的な動向を見極める必要がある。デルの事業構造が、PC市場の影響を受けながらもAI関連分野での成長機会を確保できるかが、今後の株価回復の鍵となるだろう。

AI関連事業の成長とPC市場の低迷

デルの事業は、「インフラソリューショングループ(ISG)」と「クライアントソリューショングループ(CSG)」の2部門に分かれる。AIサーバーなどを含むISG部門は前年比22%の成長を遂げた一方で、PC市場の減速はCSG部門にとって逆風となっている。PCの買い替えサイクルの鈍化が業績に影響し、短期的な収益成長の足かせとなっている。

一方、AI市場の拡大はデルにとって大きな追い風となる可能性がある。AIサーバー需要の増加により、データセンター向けのハードウェア事業が成長を牽引している。AI関連の受注残が90億ドルに達していることは、今後の売上成長のポテンシャルを示している。

しかし、デルがAI事業の成長を持続させるには、市場競争の激化への対応が求められる。AI分野ではNVIDIAやAMDなどの半導体メーカーが優位に立ち、クラウドプロバイダーも独自のハードウェア開発を進めている。デルがこの競争環境の中で、どのように差別化を図り、事業の成長を維持するかが問われている。

過去の株価動向と今後の展開

デルの株価は過去にもサポートレンジに到達した後に反発したことがある。昨年8月には80ドル台後半まで下落した後、140ドル台半ばまで回復したが、その後再び調整局面に入っている。今回も同様の動きとなるかは、AI事業の成長性とPC市場の回復速度に依存すると考えられる。

アナリストの評価によると、デルの株価は慎重ながらも楽観的な見方が維持されている。目標株価の平均は139.88ドルとされ、23名のアナリストのうち大半が「買い」または「中立」の評価を下している。デルのP/Eレシオは今後の予測値で9.93とされており、現在の株価水準を考慮すると割安と判断する向きもある。

今後の焦点は、デルがAI事業を軸に業績を伸ばせるか、そしてPC市場の回復がどのタイミングで訪れるかにある。市場は短期的な不透明感を抱えつつも、中長期的にはAI分野の成長によってデルの収益基盤が強化されるかどうかを注視している。

Source:AskTraders.com