データ分析企業パランティア(NYSE: PLTR)は2024年初頭に急騰し、2月18日に史上最高値の124.62ドルを記録した。しかし、その後市場のセンチメントが急変し、現在は100ドルを下回る展開が続く。株価下落の要因として、過度なバリュエーション、政府契約依存への懸念、さらには国防総省の予算削減案が挙げられる。

こうした状況を受け、ジェフリーズのアナリスト、ブレント・スリル氏は3月5日にパランティアの格付けを「アンダーパフォーム」とし、目標株価を60ドルに設定。現在の水準から約31%の下落を示唆する。CEOの大規模な株売却や依然として高いPER水準もリスク要因として指摘されている。一方、ウィリアム・ブレアは「マーケットパフォーム」に格上げし、今後の相場動向を注視している。

パランティアの株価急落 その背景にある三つのリスク

パランティアの株価は2月18日に124.62ドルの史上最高値を記録したが、その後急落し、3月5日時点で86.94ドルまで下落した。この約30%の下落は、単なる調整ではなく、いくつかの根本的なリスクが背景にある。

第一に、同社のバリュエーションが依然として高い点が指摘されている。2月のピーク時には2026年の予想売上の61倍という水準に達していたが、現在もなお39倍と業界内でも極めて高い水準にある。この過剰な評価は、市場のセンチメントが変化した際に急激な下落を引き起こしやすい要因となる。

第二に、同社の売上の大部分が政府契約に依存している点が懸念材料となっている。特に、国防総省の予算削減案が影響を及ぼす可能性があり、これが今後の売上成長の持続性に対する不安を生んでいる。軍事関連の予算削減が進めば、パランティアの主要顧客である政府機関の支出が抑えられ、売上の成長が鈍化する可能性が高まる。

第三に、地政学的なリスクが企業の業績に影響を及ぼす要因となっている。特に米中間の貿易摩擦が再燃する兆しがあり、これが防衛関連企業やデータ分析企業の契約環境に影響を及ぼすとみられる。リスク資産の売却が進んでいる状況も、パランティア株のボラティリティを高める要因の一つといえる。

ジェフリーズが示した警告 目標株価60ドルの根拠とは

3月5日、ジェフリーズのアナリストであるブレント・スリル氏は、パランティアの株価について「アンダーパフォーム」を継続し、目標株価を60ドルに設定した。この評価の背景には、同社の内部動向や市場環境の変化がある。

スリル氏が特に注目したのは、CEOアレックス・カープ氏による大規模な株売却である。過去6か月間で、彼は約4,500万ドル相当のパランティア株を売却しており、これは彼の持ち株の約21%に相当する。経営陣の大規模な売却は、しばしば株価の下落サインと見なされるため、投資家の間で不安を助長する要因となった。

また、スリル氏はパランティアの高いバリュエーションを問題視している。現在の株価でも予想売上の39倍という水準にあり、業界内で最も評価が高い部類に入る。このような高PER銘柄は、市場環境が悪化すると一気に売られやすく、実際に今回の下落を引き起こした一因ともなっている。

さらに、過去の高PER銘柄の動向を考慮すると、パランティア株のバリュエーションは今後さらに縮小する可能性がある。類似企業のケースでは、成長期待が剥落するとPERが半減することも珍しくないため、ジェフリーズの60ドルという目標株価は、そのシナリオを考慮した水準とみられる。

今後の株価展開は不透明 アナリストの評価も分かれる

パランティアの株価が急落する中、ウォール街のアナリストの見解は分かれている。ジェフリーズのように弱気の姿勢を崩さないアナリストがいる一方で、ウィリアム・ブレアは3月5日に格付けを「アンダーパフォーム」から「マーケットパフォーム」へと引き上げた。

ウィリアム・ブレアの分析によると、パランティアの株価は今後しばらくレンジ相場になる可能性が高いとされている。これは、現在の市場環境を考慮すると、投資家が強気と弱気の間で揺れ動くことが予想されるためだ。しかし、市場が再び強気に転じれば、史上最高値を更新する可能性もあるとの見方を示している。

一方で、現時点では市場全体のリスク回避姿勢が強まっているため、パランティアのような高バリュエーションの銘柄は引き続き売られやすい状況にある。政府契約の先行き不透明感や地政学的リスクが継続する限り、株価の回復には時間がかかるかもしれない。

最終的に、パランティアの今後の株価動向は、市場のセンチメントと政府契約の動向に大きく左右されることになる。短期的なボラティリティが高まる可能性があるため、慎重な判断が求められる局面といえるだろう。

Source:Finbold