ビットコインを積極的に取得する企業として知られるMicroStrategyが、さらなる暗号資産購入のための資金調達手段を強化した。株主総会において、発行可能なクラスA普通株の総数を30倍に引き上げる決議が承認され、同社の資金調達能力が飛躍的に向上した。
同社はこれまでに総額293億ドルを投じ、461,000BTCを保有するに至った。最近の取引では約110億ドルで11,000BTCを追加取得し、1BTCあたりの購入価格は約101,191ドルとなった。これにより、年初来のビットコイン投資利回りは1.69%を記録している。
創業者であり現会長のマイケル・セイラーは、ビットコインを「デジタルゴールド」と位置づけ、インフレへの対抗策として長期的な保有戦略を展開している。さらに「21/21プラン」を通じて、総額460億ドルの資金を株式発行と債券発行で調達し、ビットコインのさらなる取得を計画している。
MicroStrategyの資金調達戦略と株式発行拡大の影響
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MicroStrategyは、ビットコイン購入を継続するために資金調達手段を強化している。今回の株主総会では、クラスA普通株の発行可能数を3億3,000万株から103億株へと大幅に拡大する決議が承認された。これにより、同社は市場からの資金調達が格段に容易になり、さらなる暗号資産の取得に向けた基盤を整えた。
この決定の背景には、MicroStrategyの一貫したビットコイン投資戦略がある。創業者マイケル・セイラーは、ビットコインをインフレヘッジの手段として位置づけ、現金や従来型資産よりも優れたストア・オブ・バリュー(価値の保存手段)と主張している。同社は過去数年間にわたり、転換社債の発行や追加株式発行を活用し、資本市場を通じて資金を調達してきた。今回の決議によって、その規模をさらに拡大する準備が整った。
この動きは株式市場にも影響を及ぼす可能性がある。株式の発行増加は希薄化のリスクを伴うため、短期的には株価に調整圧力がかかる可能性がある。しかし、MicroStrategyが調達した資金をもとにビットコインを取得し、その価値が上昇すれば、長期的には企業価値の増加につながる可能性もある。実際、これまで同社の積極的なビットコイン戦略によって株価は大幅に上昇しており、市場の評価は引き続き注目される。
「21/21プラン」がもたらすビットコイン市場への影響
MicroStrategyは、昨年発表した「21/21プラン」に基づき、総額460億ドルを調達する計画を進めている。このプランでは、210億ドルを株式発行、210億ドルを固定利付証券の発行によって調達し、さらなるビットコイン購入を実行する方針だ。この計画が進行すれば、ビットコイン市場に大きな影響を与えることは間違いない。
MicroStrategyは既に461,000BTCを保有しており、これは流通するビットコインの約2.2%に相当する。今後さらなる購入が進めば、同社の影響力はさらに拡大する。特に、流通量の限られたビットコイン市場において、巨額の買い注文は供給の逼迫を招き、価格上昇要因となる可能性がある。これは、2024年のビットコイン半減期と相まって、需給バランスに大きな変化をもたらす可能性がある。
一方で、MicroStrategyの戦略にはリスクも伴う。ビットコイン市場は依然としてボラティリティが高く、短期的な価格変動は大きい。仮に市場が急落した場合、MicroStrategyのバランスシートへの影響は無視できない規模となる可能性がある。また、21/21プランが市場に与える影響も未知数であり、大規模な資金調達が計画通りに進むかは、投資家の市場動向に左右される部分が大きい。
それでも、MicroStrategyはビットコイン市場の長期的成長を確信し、大胆な戦略を貫いている。セイラーは「ビットコインこそが最高の資産であり、我々の資本戦略の中核を成す」と述べており、その方針が揺らぐ兆しは見られない。
MicroStrategyの戦略が他の企業に与える示唆
MicroStrategyの動きは、他の上場企業や機関投資家にとっても示唆に富むものとなる。同社は、企業財務の一環としてビットコインを大量に保有することが可能であり、長期的な資産運用戦略として成り立つことを証明しつつある。
特に、金融機関やテクノロジー企業において、ビットコインやその他のデジタル資産をバランスシートに組み込む動きが加速する可能性がある。すでにTeslaやSquare(現Block)がビットコインを保有しており、今後、これに追随する企業が増える可能性がある。特に、金利上昇やインフレ懸念が続く中、伝統的な現金保有戦略に疑問を持つ企業が増えていることも、この流れを後押ししている。
また、MicroStrategyの戦略は規制当局の注目を集める可能性もある。企業が暗号資産を大量に保有することは、財務の健全性やリスク管理の観点から新たな課題をもたらす。そのため、今後は規制環境の変化が影響を及ぼす可能性があり、特に米国証券取引委員会(SEC)や財務省の動向が注目される。
MicroStrategyの先進的な取り組みは、ビットコインの企業活用モデルの先駆けとなる一方で、市場の変動や規制リスクとのバランスをどう取るかが今後の焦点となるだろう。
Source:Decrypt