2024年後半にかけて急上昇したパランティア(NASDAQ: PLTR)の株価に対し、今後12か月で大幅な下落が予想されるとの見解が示された。Jefferiesのアナリスト、ブレント・スリル氏は、現在の市場評価が過大であると指摘し、目標株価を28ドルと設定。これは、現在の株価水準から約65%の下落を意味する。
一方で、他のアナリストの見解は分かれており、Wedbushは90ドルの目標株価を提示し「買い」推奨を維持。市場の強気派と弱気派の対立が鮮明になっている。S&P 500組み入れ後の急騰が続く中、今後の動向に注目が集まる。
パランティア株はなぜ65%の下落リスクとされるのか
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パランティアの株価は2024年に急騰し、現在は約80ドルで推移しているが、Jefferiesのブレント・スリル氏は「過大評価」との見方を示している。同氏によれば、同社の収益に対する市場の期待が過度に楽観的であり、特に予想される収益の50倍という高い倍率で取引されていることがリスク要因とされる。
さらに、パランティアの強みである政府向け契約の拡大は続いているが、商業部門の成長が不透明である点も懸念材料となっている。スリル氏の予測では、企業の収益成長率が想定を下回れば、株価の調整は避けられない。加えて、AIブームが収束した場合、現在の評価水準を維持するのは難しいと考えられる。
一方で、過去の市場データを見ると、S&P 500組み入れ後に急騰した銘柄が一定期間後に調整を受ける傾向があることも指摘されている。短期間での株価急上昇は、利確売りや機関投資家のポジション調整を招き、調整局面に入る可能性が高い。スリル氏の予測する28ドルという目標株価は、現在の水準から見れば悲観的なものだが、過去の事例と比較すると、一定の根拠があると言える。
強気派の見解—パランティアは新たな成長フェーズに入ったのか
一方で、パランティア株に対する強気な見解も根強い。Wedbushのダン・アイブス氏は、同社が今後も成長を続けるとし、目標株価を90ドルに設定。特に、商業部門の成長が進むことで、政府依存からの脱却が進むと期待している。また、AI技術の進化に伴い、パランティアのソフトウェアプラットフォームの需要が高まる可能性を指摘している。
実際、パランティアの強みは、政府機関や大手企業向けのデータ解析にある。企業がデータ活用を強化する流れの中で、同社の技術は高く評価されており、長期的には成長余地があると考えられている。また、Cantor Fitzgeraldの72ドルという目標株価も、現在の株価水準に近く、強気派の主張を裏付ける要因の一つとなっている。
また、著名アナリストのジム・クレイマー氏も「パランティアの成長は止まらない」と述べ、同社の技術力と市場のニーズの合致がさらなる株価上昇を促すと指摘している。特に、AI分野の企業は市場全体の期待値が高く、パランティアもその波に乗る可能性がある。しかし、こうした楽観的な見方に対しては、AIブームが続くかどうかが鍵となる。
市場の判断は分かれるが、パランティアの成長戦略が今後を決める
パランティア株の評価は、強気派と弱気派の間で大きく分かれており、市場全体としても意見が統一されていない。2025年初頭の動きでは、年初の変動を経ても依然として6.08%の上昇を維持しており、市場の関心が高いことがうかがえる。
しかし、パランティアの今後の成長戦略がどのように展開されるかが、最終的な株価の行方を決めるポイントとなる。同社は政府契約に依存しすぎるリスクを認識しており、商業分野への進出を強化している。もし、商業分野の収益成長が期待通りに進めば、強気派の予測が現実になる可能性もある。一方で、成長速度が鈍化すれば、スリル氏の予測する調整局面が訪れる可能性も否定できない。
市場全体のAI関連銘柄の動向や、パランティアの財務状況が明らかになる決算発表も今後の重要な指標となる。短期的な値動きに振り回されず、企業の実績と成長戦略を冷静に分析することが、今後の判断材料となるだろう。
Source:Finbold