2025年3月4日、トランプ前大統領が発動した新たな貿易関税により、米国市場は大きな動揺を見せた。メキシコ、カナダ、中国からの輸入品に対し、最大25%の関税が課され、特に貿易依存度の高い企業への影響が懸念されている。

市場は即座に反応し、ダウ工業株30種平均は乱高下。S&P 500は一時1.5兆ドルの市場価値を失う事態となった。しかし、こうした混乱の中でも一定の安定性や成長機会を持つ銘柄が存在する。

注目されるのは、小売大手ウォルマートと産業機械メーカーのキャタピラーだ。ウォルマートは強固なサプライチェーンと価格決定力を活かし、消費の変化に適応する可能性がある。

一方、キャタピラーはインフラ投資拡大による恩恵を受けると見られる。関税政策の影響を慎重に見極めながら、戦略的な銘柄選択が求められる局面となっている。

トランプ前大統領の関税政策が市場に与えた影響

2025年3月4日、トランプ前大統領が打ち出した追加関税が正式に発動し、金融市場は大きく揺れた。メキシコ、カナダ、中国を対象とした関税措置により、米国経済の一部に打撃が及ぶ可能性が懸念されている。

関税発動直後、ダウ工業株30種平均は乱高下し、一時1,100ポイントの下落を記録。その後1,400ポイントの反発を見せたが、市場のボラティリティは顕著だった。S&P 500も3:30 PM(ET)時点で1.5兆ドルの市場価値を喪失。特に輸入依存度の高い企業や消費財セクターの株価が急落した。

トランプ前大統領は「交渉や遅延はない」と強調しており、市場の動揺が短期的に収束する可能性は低い。関税の影響は単なる一時的な混乱ではなく、企業収益や消費者物価の上昇を通じて、経済全体へ波及する可能性が指摘されている。今後の金融市場の動向を注視する必要がある。

影響を最小限に抑えるウォルマートの戦略

ウォルマート(NYSE: WMT)は、関税によるコスト増加の影響を最小限に抑える力を持つと考えられている。小売業界全体がコスト上昇のリスクに直面する中、同社の強固なサプライチェーンと価格決定力が競争優位性を維持する可能性がある。

2024年第4四半期の決算では、売上高が1,805.5億ドルと前年同期比4%増を記録。特にEコマース事業の成長が顕著で、売上の18%を占めるまでに拡大した。価格競争が激化する中でも、ウォルマートのコスト削減策と効率的な物流網が収益基盤を支えている。

消費者心理が変化し、節約志向が高まることで、ディスカウントストアの需要が増加する可能性がある。こうした状況下では、ウォルマートの低価格戦略が競争優位を発揮しやすく、関税の影響を受けにくい企業の一つと考えられる。

キャタピラーが直面するリスクと成長の可能性

キャタピラー(NYSE: CAT)は産業機械分野の大手企業として知られ、関税措置の影響を受ける可能性がある一方で、国内インフラ投資の拡大が追い風となる可能性もある。

2024年第4四半期の決算では、売上高が162億ドルと前年同期比5%減少し、市場予想を下回った。しかし、1株当たり利益は5.78ドルと過去最高を記録しており、コスト管理と高付加価値製品の販売が収益を支えたことが示唆されている。

トランプ前大統領の政策が米国内の製造業回帰を促進すれば、キャタピラーの建設機械やインフラ関連事業の需要増加につながる可能性がある。ただし、グローバル展開している同社にとって、関税によるコスト増加や海外市場の縮小リスクは無視できない。短期的な変動は避けられないものの、長期的な成長シナリオを見極めることが重要となる。

Source:Finbold