インテル(ティッカー: INTC)は、1月30日の市場終了後に第4四半期決算を発表する予定である。アナリストらは、売上高が前年同期比10%減の138億ドル、純損失が7億2800万ドル(1株当たり14セント)と予測しており、前年同期の純利益26億6000万ドル(1株当たり63セント)から大幅な悪化が見込まれる。Visible Alphaが追跡する13人のアナリストのうち12人が「ホールド」評価を付け、目標株価のコンセンサスは23.81ドルで、現行株価から約20%の上昇余地を示唆している。さらに、今月初めにテクノロジー系ニュースサイトが報じた匿名情報により、ブロードコム(ティッカー: AVGO)がインテルの買収を検討しているとの噂が浮上している。シティのアナリストは、ブロードコムがインテルのファウンドリー事業の売却を視野に入れている可能性を指摘している。これらの動向は、先月パット・ゲルシンガーCEOが退任して以来、初の決算発表を迎えるインテルにとって重要な局面となる。現在、インテルの時価総額は870億ドル以上であるが、過去12か月で株価は半分以上下落している。1月28日の取引終了時点で、同社の株価は2.4%下落し、19.80ドルで取引を終えた。
インテルの業績悪化の背景と市場の評価
インテルの業績悪化は、単なる一時的な減収にとどまらない。Visible Alphaのデータによると、第4四半期の売上高は前年比10%減の138億ドルにとどまり、純損失は7億2800万ドル(1株当たり14セントの損失)と見込まれている。この数字は、前年同期の26億6000万ドル(1株当たり63セントの利益)という黒字からの急激な転落を示している。
市場の評価も厳しく、インテルの株価は過去12か月で半分以上下落している。Visible Alphaが追跡する13人のアナリストのうち12人が「ホールド」評価を維持し、目標株価のコンセンサスは23.81ドルとされているものの、投資家の信頼を取り戻すには時間がかかる可能性がある。特に、同社のファウンドリー事業の競争力低下や、データセンター向けプロセッサ市場でのシェア低下が懸念されている。
この業績悪化の背景には、競争環境の変化がある。インテルは長年にわたり半導体市場のリーダーとして君臨してきたが、近年は台湾のTSMCや米国のAMD、NVIDIAの台頭により、かつての優位性を失いつつある。加えて、製造技術の遅れが依然として解決されていないことが、さらなる圧力となっている。こうした市場環境が、今回の決算への悲観的な見方につながっている。
ブロードコムによるインテル買収の可能性とその影響
決算発表を前に、インテルの買収に関する噂が市場で広がっている。テクノロジー系ニュースサイトの報道によると、ブロードコム(AVGO)がインテルの買収を検討している可能性があるという。この報道を受け、シティのアナリストは「ブロードコムがインテルのファウンドリー事業の売却を視野に入れている」と指摘している。もし買収が実現すれば、半導体業界の勢力図が大きく変わることになる。
ブロードコムは、通信機器向けの半導体やデータセンター向けの製品に強みを持ち、安定した成長を続けている企業である。一方、インテルは長年にわたり自社工場を維持し続けてきたが、そのファウンドリー事業は近年苦戦を強いられている。もしブロードコムがインテルを買収し、ファウンドリー事業を売却した場合、インテルは設計に特化した企業へと変貌する可能性がある。
ただし、買収が実現するかどうかは不透明である。インテルの時価総額は870億ドルを超えており、ブロードコムがそれだけの資金を投じるかどうかは慎重に判断されるだろう。また、規制当局の承認を得る必要があるため、実際に交渉が進んでいたとしても、すぐに決着するとは考えにくい。それでも、半導体業界における統合の動きが加速する中で、こうした買収の可能性が議論されること自体が、業界の変化を示唆している。
インテルが直面する課題と今後の展望
インテルは近年、製造技術の遅れや競争環境の変化によって苦境に立たされている。同社は数年前に「IDM 2.0」戦略を発表し、半導体の設計と製造の両方を手掛ける統合デバイスメーカー(IDM)としての強みを活かす方針を示していた。しかし、現実にはTSMCの先端プロセスに対抗するのが難しく、半導体の製造技術において遅れを取っている状況である。
さらに、データセンター市場ではAMDが市場シェアを拡大し、AI分野ではNVIDIAが圧倒的な地位を築いている。インテルはこれに対抗するため、自社のAIプロセッサ「Gaudi」シリーズを発表したが、市場の反応はまだ限定的である。競争力を取り戻すには、技術革新と事業戦略の両面で抜本的な改革が求められる。
今後の展望としては、まず決算発表で示される業績の詳細が市場の反応を左右するだろう。特に、データセンター向けプロセッサやAI関連事業の進捗が注目される。また、CEOの交代による経営戦略の変化も焦点となる。ブロードコムによる買収の噂も含め、インテルの今後の方向性が業界全体に影響を及ぼすことは間違いない。
Source:Investopedia