ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは四半期ごとに大幅な株売却を進める一方、最大保有株であるAppleは売却せずに保持している。2025年初めにAppleへ1,000ドルを投資した場合、現在の価値は950.10ドルとなり、約5%の損失を記録した。

Appleの株価は2024年末の250.42ドルから3月4日には237.93ドルまで下落。市場予想を上回る決算を発表したものの、中国市場での販売不振やAI分野での遅れが懸念材料となった。ウォール街の見方も分かれ、UBSのアナリストは目標株価を236ドルと設定している。

一方で、バフェットはオクシデンタル・ペトロリウムの株を追加購入しており、エネルギー分野へのシフトも示唆される。米国市場全体の調整を見据えた戦略の可能性があり、今後の動向が注目される。

バフェットがApple株を保持する理由とは

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2024年第4四半期の「13-F」提出書類において、多くの銘柄を売却したことが明らかになった。しかし、最大保有株であるAppleについては売却せず、依然としてポートフォリオの約28%を占めている。

Appleの株価は2025年に入り下落し、3月4日時点で年初比4.99%のマイナスとなっている。これにより、年初に1,000ドルを投資していた場合、その価値は950.10ドルに減少した。業績は市場予想を上回る結果を出しているが、中国市場での苦戦やAI分野への参入の遅れが投資家心理を冷やしている。

バフェットがApple株を売却しなかった背景には、同社の強固なブランド力とキャッシュフローの安定性があると考えられる。Appleは数兆円規模の自社株買いを継続しており、1株当たりの価値を高める方針を崩していない。さらに、ハードウェア事業に依存しつつも、サブスクリプションを含むサービス事業の拡大が利益率を押し上げている点も評価される要因だろう。

一方で、Appleの成長が鈍化し始めているとの見方もある。特に、iPhoneの販売が中国市場で低迷しており、競争が激化する中で成長を維持できるかが今後の焦点となる。バフェットがApple株を長期的に保持し続けるか、それとも売却に転じるかは、市場の関心を集めるポイントとなる。

Apple株の下落要因と市場の反応

Appleの株価は2025年の年初から下落しており、3月4日時点で237.93ドルとなっている。主な要因として、AI分野への参入遅れ、中国市場での販売不振、米国内での買い替え需要の鈍化が挙げられる。特に、AI技術の開発が遅れている点は、競争環境が激化する中で懸念材料となっている。

Appleは2025年第1四半期の決算で市場予想を上回る成績を発表したが、将来成長の不透明感が株価の上値を重くしている。ウォール街では評価が分かれており、UBSのアナリストであるデビッド・フォークト氏はAppleの目標株価を236ドルに設定し、「販売の減速は続くものの、新興市場での成長の可能性はある」と指摘している。

また、米中関係の緊張もAppleにとって逆風となっている。トランプ前大統領が中国に対する関税を再導入した影響で、中国市場での販売戦略が難航する可能性がある。これにより、Appleの売上の約20%を占める中国市場での成長に不確実性が増している。

市場では、Appleが今後どのような戦略を打ち出すかが注目されている。特に、AI分野への本格的な投資や、新たな収益源の確保が課題となるだろう。Appleの競争力が試される中で、バフェットのスタンスが変わるかどうかも焦点となる。

バフェットの資産戦略とエネルギー分野へのシフト

バークシャー・ハサウェイは、2024年第4四半期にダヴィータ株を1億1,600万ドル相当売却する一方で、オクシデンタル・ペトロリウム株を追加購入している。これは、バフェットがエネルギー分野への投資を強化していることを示唆する動きといえる。

オクシデンタル・ペトロリウムは、石油・ガス事業を展開する大手企業であり、バフェットは同社の成長可能性に着目しているとみられる。特に、原油価格の変動が大きい中で、安定したキャッシュフローを確保できる企業への投資は魅力的な選択肢となる。

また、バフェットは現在、過去最高額の現金を保有しており、大規模な市場調整を見据えている可能性がある。市場が過熱していると判断し、投資機会を慎重に見極めていると考えられる。実際、彼は最新の株主向け書簡で米国の財政政策に警鐘を鳴らしており、市場全体のリスクを意識していることがうかがえる。

バフェットの動向は、多くの投資家にとって市場の方向性を示す重要な指標となる。エネルギー分野へのシフトは、今後の市場環境に対する彼の見方を反映したものといえるだろう。Apple株の行方と併せて、バークシャーの投資戦略の変化が今後の焦点となる。

Source:Finbold