クラウドセキュリティ大手CrowdStrikeの株価が、最新の業績見通しを受けて大幅に下落した。第4四半期の利益と売上高は市場予想を上回ったものの、2026年度の通期予測が期待を下回ったことで投資家の失望を招いた。
特に、第1四半期のEPS予想が市場コンセンサスより30%以上低い0.64~0.66ドルとなったことがネガティブ要因となった。通期のEPS見通しも4.40ドルを下回る3.33~3.45ドルにとどまり、慎重な業績予測が市場に警戒感を広げた。
一方、CEOのジョージ・カーツ氏はAIを活用したサイバーセキュリティの重要性を強調。サブスクリプション型ビジネスの強みを活かし、成長戦略を加速させる方針を示した。だが、市場の競争が激化する中で、今後の成長性が試される局面となっている。
第1四半期の業績見通しが市場予想を大きく下回る

CrowdStrikeの最新の業績報告では、第4四半期の売上高が前年同期比25.2%増の10億6000万ドルとなり、事前の市場予想を上回る堅調な結果となった。EPS(1株当たり利益)も1.03ドルと、市場予想の0.86ドルを大きく上回り、短期的な業績は好調を維持した。しかし、発表された2026年度の業績見通しは市場の期待に届かず、投資家心理を冷やす結果となった。
特に、第1四半期のEPS予想は0.64~0.66ドルとされ、市場コンセンサスの0.95ドルを大幅に下回った。また、売上高は11億600万ドル~11億640万ドルと予測され、アナリストの予想である11億ドル付近をわずかに上回るものの、成長の鈍化が意識された。2026年度通期のEPSも3.33~3.45ドルのレンジとされ、市場予想の4.40ドルを下回った。
売上高の成長率が依然として高い水準にあるにもかかわらず、利益見通しが市場予測を下回ったことが、投資家の売りを誘発したとみられる。これは、同社が成長投資を優先し、収益性の改善を急がない戦略を取っている可能性を示唆している。競争が激化するサイバーセキュリティ業界において、今後の投資と成長のバランスが鍵となる。
AI活用の加速とサイバーセキュリティ市場での競争環境
CrowdStrikeのCEOであるジョージ・カーツ氏は、AIの活用が今後のサイバーセキュリティ業界の成長に不可欠であると強調した。企業がAIを急速に導入する中、セキュリティ侵害のリスクも拡大しており、AIネイティブなサイバーセキュリティプラットフォームの重要性が高まっている。同社はこの分野での技術開発を進めており、AIを活用した防御ソリューションの提供に注力している。
しかし、サイバーセキュリティ市場では競争が激化しており、Palo Alto NetworksやMicrosoftなどの強力な競合が存在する。特に、クラウドベースのセキュリティソリューションにおいては、各社がAI技術の導入を進めており、差別化が求められる状況だ。
また、過去に発生した技術的な問題による大規模なIT障害も、同社のリスクとして市場では注視されている。クラウド型セキュリティの利便性が高まる一方で、システムの安定性や継続的なアップデートが企業にとって重要な課題となる。今後、CrowdStrikeがAI技術を活用し、どのように市場での競争力を維持していくかが焦点となる。
株価の急落が示す市場の警戒感
今回の決算発表を受け、CrowdStrikeの株価は時間外取引で9.32%(36.36ドル)下落し、353.80ドルまで値を下げた。この急落の背景には、業績見通しの慎重さに対する投資家の不安がある。
企業の業績が短期的には市場予想を上回ったにもかかわらず、今後の成長性に対する不透明感が強まり、利益確定の売りが集中したとみられる。また、競争環境の激化に加え、企業のIT予算の抑制が影響する可能性もある。サイバーセキュリティ業界は中長期的な成長が期待される分野ではあるものの、短期的には市場の変動に大きく影響を受けることが明らかになった。
CrowdStrikeは引き続きAIを活用したセキュリティ強化を進める方針だが、市場の成長期待を満たすためには、投資戦略の明確化や収益性の向上が求められる。今後の決算発表や、新たなサービス展開が市場にどのように評価されるかが注目されるポイントとなる。
Source:Wall Street Pit