テスラ(NASDAQ: TSLA)は2025年の序盤で苦戦し、年初来で12%の下落を記録。2月20日時点で株価は354.65ドルとなり、2024年12月の最高値488ドルから大幅に下落した。この間に時価総額は5,000億ドル減少しており、背景には第4四半期決算の期待外れな結果や競争激化がある。
しかし、テスラは自動運転ロボタクシーの導入やヒューマノイドロボット「オプティマス」の開発、インド市場参入など積極的な成長戦略を推進。これを受けてウェドブッシュ証券はテスラ株を「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を550ドルに設定した。
ウェドブッシュ証券は、2025年の新型EV市場投入やオースティンでの無監督FSD展開が成長の鍵になると分析。イーロン・マスク氏の他事業への関与に懸念の声もあるが、同証券は長期的な成長には影響を及ぼさないと判断している。
テスラの株価下落が示す市場の変化と競争の激化

テスラは2025年の序盤で12%の下落を記録し、時価総額は5,000億ドル減少した。2024年12月の最高値488ドルからの下落の背景には、第4四半期決算が市場の期待に届かなかったこと、販売台数の減少、そしてEV市場における競争の激化がある。特に、老舗自動車メーカーと新興EV企業の攻勢がテスラのシェアに影響を及ぼしている。
EV市場では、フォードやゼネラル・モーターズ(GM)といった伝統的な自動車メーカーが電動化を加速。さらに、中国のBYDを筆頭に、多くの新興EVメーカーが急成長を遂げており、価格競争が激化している。テスラも価格を引き下げる戦略を採用しているが、それにより利益率が圧迫されるというジレンマを抱えている。
一方で、テスラの成長戦略は単なるEVメーカーに留まらず、自動運転技術やロボット開発など多方面に及ぶ。この多角化が市場の懸念材料となるか、競争力強化につながるかは、今後の実績次第となる。競争が激化する中で、テスラが持つブランド力と技術力がどこまで通用するかが注目される。
ウェドブッシュ証券が示すテスラの成長要因と懸念点
ウェドブッシュ証券は、テスラ株に対して「アウトパフォーム」を維持し、目標株価を550ドルとした。その根拠として、自動運転技術、ヒューマノイドロボット「オプティマス」、そして市場拡大戦略を挙げている。特に、2025年内に開始予定のロボタクシーの市場投入は、自動車業界だけでなくテクノロジー業界全体に影響を与える可能性がある。
また、2025年には新型の大衆向けEVが市場に投入される予定であり、これが需要を押し上げる要因となると見られている。さらに、テスラはインド市場への参入を計画しており、これまでの市場とは異なる価格帯と競争環境に適応できるかが問われる。
ただし、テスラの成長戦略にはリスクもある。価格競争の激化に加え、規制の影響やイーロン・マスク氏の他事業への関与が懸念材料として指摘されている。特に、政府効率化省(DOGE)への関与が、テスラの経営に影響を及ぼす可能性も否定できない。これらの要素を考慮すると、テスラの成長軌道は順風満帆とは言い切れない状況にある。
テスラの未来はEV市場の枠を超えられるか
テスラはEVメーカーとしての地位を築いたが、今後は自動車業界を超えた事業展開が鍵となる。自動運転技術の進化とともに、ロボタクシー事業は大きな転換点となる可能性があり、交通産業全体の構造を変える可能性を秘めている。一方で、ヒューマノイドロボット「オプティマス」の実用化が進めば、労働市場に影響を与える新たな産業が生まれることになる。
しかし、これらの技術が実用段階に至るには課題も多い。ロボタクシーの安全性や法規制の問題、ロボット市場の需要の不透明さなど、テスラが直面するハードルは決して低くない。さらに、これらの新事業に経営資源を振り分けることが、EV事業の競争力低下につながるリスクも考えられる。
市場はテスラの将来性を評価しながらも、その実現可能性については慎重な見方を崩していない。ウェドブッシュ証券の強気な目標株価も、テスラの技術革新が順調に進むことを前提としている。今後、テスラがEV市場のリーダーであり続けるのか、それともテクノロジー企業として新たな領域を開拓するのかが、市場の関心を集めるポイントとなる。
Source:Finbold